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上野の森は大賑わい

−美術展 百花繚乱−



今年の連休は休みようによってはかなり長い連休が取れますわね。一方、暦通りという方も沢山いらっしゃいましょう。それでも、そこそこ長い連休ですわね。リフレッシュ、リフレッシュ。
さてさて、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私はと言うと、前半は上野の森及び都内散歩、後半はちょろりと旅行に出かけます。
で、今回の記事は上野の森の美術展について。





このところ、NHKの若冲押しが猛烈を極めてますね。特集で4月中に一体何本若冲ものを放送したのか分からないけど、とにかく猛烈に押したいのね、という感じは伝わってきます。とはいえNHKは前からかなり若冲押しなので、今更感もあるのだけど、いま都美術館で開催している若冲展にイヤがうえにも人を呼びたいんでしょうね。だからかどうか、それでなくてもなのか、若冲展は猛烈な大盛況。会期が短いということもあるし、宮内庁所有の「動植彩絵」全30幅とか、野菜を釈迦の涅槃に見立てた「果蔬涅槃図」などの京都から集められた作品群、そして若冲展には欠かせないお馴染みのプライス・コレクションなどなど、これでもかと集めまくった感が生誕300年記念の名に恥じない豪華版の展示になっているというわけで、それはもう、大変な騒ぎでざます。

ワタシはというと、いま特に若冲に引っ張られてはいなかったのだけど、知人が招待券をくれたので有難く見物に行った次第。何しろ混んでいそうなので、初日の金曜の夜が狙い目、というわけで19時ぐらいに都美術館へ。
閉館まで1時間程度なので、案の定それほどの混雑でも無かったのだけど、それでも、人気の絵(「菜蟲譜」とか)の前は、やはりかなりの人だかり。ワタシはまず、全体にさらっと流し見て、後で気になった絵のところに戻ってじっくりと見物するというスタイルなので、一渡りざっくりと見物。噂の「動植彩絵」もさすがに凄いと思ったけれども、ワタシが一番掴まれたのは、しょっぱなに展示されていた鹿苑寺大書院障壁画「葡萄小禽図襖絵」でした。



墨一色で描き分けられた葡萄の実の美しい色合い。墨のグラデーションが本当にお見事。ヒュルッと宙を舞う葡萄の蔓。その迷いも乱れもない筆裁き。輪郭線を描かず、特殊な紙(中国の宣紙)に墨の滲みをコントロールし、墨を重ねる事で淡い輪郭線のような筋目を浮き上がらせる「筋目描き」で描かれた葡萄の蔓と実の美しさにウットリしました。筋目は宣紙を使って、筆を動かすスピードや幅を計算して一息に描いていかないと綺麗に出す事はできないのだとNHKの若冲番組が言ってましたね。描いている間は筋目は見えてこないので、よほど熟練しないと描きたいような筋目を出す事ができないんだとか。この筋目描きで表された淡い墨の色合いが、柔らかくてとても綺麗。お得意の鶏の羽にも使っているし、葡萄の実にも使っている。花弁を描くのにも使っている。これが実に眺めているとウットリするような色と形なんですわね。

若冲の色彩使いや超絶技巧については色々と研究されているし、確かに色絵も凄いんだけれども、ワタシは若冲は特に墨絵がいいな、と今回改めて感じた次第。色絵だとやたらに細密で写実的な鶏や鶴も、墨絵だと大胆にデフォルメされたり、一筆でさっと描かれていたりして、そこに飄逸な趣が漂ってますのね。淡々としているけれども、そのさっと描いた線に熟達の技が冴えているというか。


飄々としてユーモラスな「虻に双鶏図」

それにしても若冲は、毎日観察していた大好きな鶏(及び鳥類一般)や昆虫や植物類は非常に写実的なのに、空想上の生き物である鳳凰とか、彼がまだ実際に目にしていなかった異国の動物、象や虎などを描くと、妙にマンガチックになってしまうところが面白いですね。ことに鳳凰は何やら手塚治虫の「火の鳥」の原型みたいな感じもしなくもないかな。尾の先の模様がハート型だったりしてね。



象や鳳凰は目が横長になるのでマンガっぽくなるのかも。とにかく若冲の色絵は日本画というよりも超細密のイラストレーションという感じ。確かに凄いんだけど、長く見ていると疲れるし、やや食傷する気味もなきにしもあらず。確かに天晴れなんだけど、なぁ〜にか引っかかるんだよね…という感じですかね。その何か引っかかるんだよね、という感じが無いのが水墨画のほうなんですね。肩の力が抜けていて、何だかとってもいいんですわ。最後の鷲図に至るまで構図といい筆裁きといい、ひたすらに感嘆あるのみ、でざます。はい。

若冲という人は、40歳で家業からリタイアして、あとはひたすら絵を描いて過ごしていたんだから、超絶技巧も日々磨かれるんだろうし、凝りに凝る時間も余裕もたっぷりとあったんでしょうけれども、晩年に至るまで、すごく目も良かったんだろうなぁと思いましたね。あんな細かいところまで描きこむには、本当に目が良くないと描いていて自分で見えないものね(笑)
版画の展示もありましたが、総体にとてもモダンなセンスでした。版画などは今見ても斬新な感じ。その斬新さは、例のプライスさん秘蔵の屏風「鳥獣花木図屏風」にも通じる超時代的なセンスだな、と改めて感心しましたり。

グッズは、ちょっと買って帰りたいものもあったのだけど、何しろグッズ売り場は大混雑の上にお会計に長蛇の列ができ、今グッズを選んで会計の列に並んでも会計が済むまでに1時間はかかる、ということだったので、ゲンナリして何も買わずに帰りました。展覧会もいいけれども、大混雑というのはちょっと困ったもんですわねぇ。人気の展覧会に行くと毎度思う事ですが。まぁ、あまり閑散としてても物寂しいだろうけれど…。

***
カラヴァッジョは「日曜美術館」などをチェックして、もう実物を見たような気になったのでスルーし、東京国立博物館に「黒田清輝展」を見物に。なんだかここのところ、毎週、上野公園に来ている感じのワタクシ。
連休に突入した上野の森は賑やかな人出でしたが、春の早緑が強風にざわざわと揺れて、お天気で湿気もない爽やかなお日和。花粉も終息期に入ったし、若い緑がさやさやして、あちこちに花が咲いて、春ってやっぱり気持ちいいなぁ、とランラン気分に。


早緑が目にも鮮やかな上野の森

国立博物館 平成館の「黒田清輝展」もなかなかの盛況ぶりでしたが、あぁもう!絵が見えないじゃない!というわけでもなく程よき混み具合という感じ。3月下旬からの開催なので、もう10万人の入場者を達成したとのこと。何よりざます。今回は黒田清輝の作品の他に、師匠ラファエル・コランの作品や、黒田の教え子たちの作品なども展示されて、生誕150年を記念する展覧会ならではの濃い内容ざました。



「湖畔」も「智・感・情」も数年前に何かの展覧会で見たので、今回は特定の作品ではなく全体に黒田作品を楽しもうと出かけたワタシが「おお!」と思ったのは、黒田の師匠、コランが描いた「ブロンドー夫人の肖像」でした。



いや〜、遠目からでも目を惹く涼しい立ち姿。ヌードをメインに優美な女性像を得意としたというコラン。裸体女性を描いた名刺がわりのような代表作「フロレアル」がピックアップされていたけれど、ワタシは「フロレアル」よりも「ブロンドー夫人の肖像」の方に強いインパクトを感じた次第。「フロレアル」は、確かに細緻に優美に女性の裸体像を描いていて、綺麗なんだけれども、草地の上に横たわった女性の体が、なんだか地面の上から少し浮き上がっているように見えるんですね。草地に横たわっている感がないというか、ごくわずかに浮遊している感じ。これがなんだか奇妙な感じを与えるんですわね。薄っぺらいような。もっとちゃんと横たわってる感が出てると良かったのになぁ、と思ったりしてね。


少し体が浮いて見えるのは足元の描きかたのせいなのか…草地が平板なせいなのか…

一方のブロンドー夫人は庭の柵の前に佇んで風に吹かれつつこちらを見ている姿が実に結構でざました。いやぁ、いいなぁ。19世紀的で。絵の中の人物に理屈抜きに惹きつけられる、という感覚を久々に味わえたひと時でした。
日本では黒田清輝の師匠として数年前には静岡の美術館で展覧会が催されたりしたコランだけれど、本国フランスでは忘れられた画家らしいんざます。当時は売れっ子だったんだろうけれど、今では時代的に印象派の陰で目立たなくなっちゃってるんだとか。でも、優美ないい作品が多いので、フランスでも復権するといいなぁ、と思います。はい。

コラン作品以外では、同時代のフランスの画家、アレクサンドル・カバネルの「フランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの死」が良かったです。むろん、メインの黒田先生の作品も堪能しましてよん。「湖畔」以外の、照子夫人をモデルにした絵が興味深かったですねぇ。「婦人肖像」とか、「赤き衣を着たる女」とかね。後者の方は2年前に「夏目漱石の美術世界展」でも見たけれども、そうか。黒田清輝の作品だったざますのね。画家の奥さんは美人に限りますね。奥さんをモデルに絵を描いて、それが代表作になるというのは素晴らしく理想的。美人も名画に姿が残されるなら冥利に尽きるというものでせう。この名画のモデルになった照子夫人は元は芸者さん。黒田家は子爵だったので、養父である叔父の黒田子爵が結婚を許さず、清輝が家督を継ぐまで、長らく籍を入れない事実婚状態だったとか。でも、明治時代は芸者上がりでも囲い者とかではなく、名士の正妻になる女性が結構居たんですわね。


黒田夫人 常にそこはかとなく目元に憂いがあっていいですね

洋行帰りの黒田清輝は裸体画で物議を醸しつつも、日本における西洋画の第一人者として後進を指導し、叔父の黒田子爵家の養子に入っていたので家督を継いで子爵となり、貴族院議員にもなり、帝国美術院長にもなったりして、後年は公人としてあまりに忙しくなったため、満足に絵を描く時間が取れなくなってしまったとか。日本の西洋画の黎明期に道を作るために奔走し、結果、60にも満たずに亡くなってしまったのはいかにも残念至極。残された美貌の夫人は寂しかったでしょうね…。それにしても、平河町にあったという黒田邸の百合の咲く庭を眺めてみたかったなぁ。百合の庭と美貌の夫人。いいですねぇ。黒田邸もさぞ素敵な建築だったんでしょうねぇ。

肖像画とか風景画など、パリの画学生時代の作品から晩年まで、様々な作品が展示されてましたが、黒田作品に関しては夫人をモデルにした作品以外では、草地に横たわる裸体女性を描いた「野辺」(師匠の「フロレアル」よりもずっと横たわっている感が出ている感じ)と、6枚組の連作「雲」が良かったですねぇ、ワタシ的には。「雲」シリーズは小さい絵なのだけど、理屈抜きにいいなぁ、という感じの絵でした。
初期の風景画が展示されているあたりで、近くにいた年配の女性が「いいわねぇ、若冲よりも、こういう方が、私、好きだわ」とお連れの方と話しているのを耳にして、ちょっとニヤリ。 確かに、こっちの方がホッとするかもね。


黒田記念館 黒田清輝の作品はいつもは記念館に収蔵されているが、今は特別展で出払っているので休館中

絵画鑑賞の後は、上野の森のカフェで憩うのが定番ですわね。カフェでお茶はしたものの、順番待ちの上、満員の店内では何だか落ち着かず。休日の午後、というマッタリ気分には程通し。休日は人が多過ぎてマッタリするどころじゃないのよねぇ…。上野は動物園があるから子連れファミリーもガンガンやってくるしね…。

やはり、平日の昼間にのんびりと散策がてら上野の森、というのが一番理想的かも、ですわね。

コメント

  • 2016/05/05 (Thu) 16:39
    No title

    kikiさん、こんにちは。
    sanctuaryです。昨日まで金沢~能登~富山に行ってきました。
    日本海の景色を目に焼き付け、海の幸を堪能して参りましたよ。
    若冲、人気ですね。
    我が国を代表するユーモア溢れる謎めいた画家ですよね。
    おっしゃるように、今でいう大手スーパーの跡取りが故に、一生画業で毎日を過ごすことが許された幸運な方でもあります。
    晩年は不幸な出来事もあったようですが、絵に現れるやり過ぎな程のゴテゴテ感(鶏図など)と、シンプルかつユーモラスな墨絵(野菜涅槃図など)と、いくつかのスタイルを持ち、今でいうデジタル画みたいなマスの目モザイク画などモダンなスタイルも彼独特なものですね。
    私見では鶏図なんかの変人めいた程の多色多彩な絵よりも墨絵やモザイク画が好きです。

    黒田清輝など明治辺りに活躍した洋画の、水彩画みたいな筆技も小学生ごろの美術の教科書などで馴染みがあり、ずっと日本人の心にありますねぇ。
    が、しかし、国が開けてすぐの画家たちですからやはり油絵というよりは水彩画ぽい。
    当然、保存しにくい、劣化し易い作品が多いようです。タブローへの喰い付きが良くないんでしょうね。知識や技術的なものの他、西洋との気候の違いもあることでしょう。
    現代の芸術家とは違い、命がけで渡航し、凱旋帰国して切磋琢磨しながら新しい画具と技術に馴染んでゆく時代が見てとれますなあ。

    • sanctuary #V0sVL5lk
    • URL
    • 編集
  • 2016/05/08 (Sun) 20:33
    Re: No title

    sanctuaryさん こんばんは。
    旅行に行っていたもので、返信遅くなりまして。
    北陸に行かれたんですね。北陸は魚介類が美味しいですよね。ワタシは東北を巡って参りました。春の東北は素晴らしかったざます。
    さて、若冲。猛烈人気すぎるというか、NHKが煽りすぎという感じもありますね。今回、券をもらったので見に行って、水墨画の良さには敬服してきました。あのモザイク絵っぽい屏風の前はすごい人だかりでちゃんと見られなかったけど、あれは今見ても斬新ですね。
    黒田清輝の油絵は水彩画っぽいんだけど、そこがまた独特の味わいというか、あの淡々とした感じがいいんだろうと思います。今回は、黒田清輝の絵よりも、彼の師匠のコランの絵がちょっと印象に残りました。

  • 2016/05/11 (Wed) 22:43
    No title

    Hello,kikiさん!

    私も最初は面白く思ってた若冲だった。ほんとNHKの推しっぷりに飽き飽きしてたんだけど、そうか墨絵が良かったのか。見てみたかったです。黒田清輝は、ここで読んで久しぶりに「日曜美術館」見てみました。kikiさんオススメのコランも出てきて私は初めて知る画家なので興味深かったです。あ〜鉄砲百合のお庭良いですねえ。時が今ならカサブランカなんかが植わっていた事でしょう。

    ところで、ブログの壁紙はリンゴの花でしょうか?もしかして東北旅行での収穫?藤の季節(ちと過ぎましたか)になりましたが、kikiさんちのお藤さんは元気にしてるかな。

    うちは、初めて育てた薔薇がしっかり咲きましたよ。昔から最初に育てるならと決めていたピースとラ・フランス。咲き始めの頃、風雨が強い日が続いて心配しましたが、ピースは4輪。ラ・フランスは風に吹かれていくつか折れましたがそれでも7輪の花を咲かせてくれました。初めての薔薇体験良かったです☆

    • ジェーン #io8unDfk
    • URL
    • 編集
  • 2016/05/15 (Sun) 19:03
    Re: No title

    ジェーンさん 返信遅くなって失礼つかまつり。

    そうなの。若冲は墨絵が良い感じざましたよ。そのうち、見てみてください。

    >あ〜鉄砲百合のお庭良いですねえ。時が今ならカサブランカなんかが植わっていた事でしょう。

    ねー。百合をはじめ、花が沢山咲く庭に美人の奥さんなんてね。画家の家としては最高の環境ってもんでしょうね。

    > ブログの壁紙はリンゴの花でしょうか?もしかして東北旅行での収穫?藤の季節(ちと過ぎましたか)になりましたが、kikiさんちのお藤さんは元気にしてるかな。

    ご明察。りんごの花です。なかなかの咲きっぷりでした。でも、うちの藤はねぇ…。今年もダメでした。丈が伸びすぎ、葉が茂りすぎてるのかも。花芽を出すためには少しエネルギーを削いだ方がいいらしいので、6月に入ったらかなり剪定してみようと計画中。

    ジェーンさんちはバラが咲きましたか。この時期、バラが咲くと嬉しいですよね。
    ピースもラフランスも色が淡くてきれいですよね。うちは、赤いバラはまた咲きそうだけど、青バラ系は2鉢あったのに、2つともオシャカになりました。青バラ系って難しいんですよ。湿気に弱いし、病気になりやすいし。そのうちまた挑戦しようとは思ってるんだけど、無事に越年させるのはかなり困難ざますわ。でも、香りがいいので、ジェーンさん、挑戦してみては?

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