ウインブルドンに思うこと

−爺さんになったマッケンローを見て、ボルグを思い出す2016年夏−



離脱派が勝利した国民投票の余波で大揺れの英国ながら、今年もウインブルドンの季節がやってきましたね。毎年熱心に見ているわけでもないし、特にテニスが大好きというわけでもないのだけど、今年はWOWOWで錦織をメインに久々に幾つかの試合を観戦。やたらに上天気かと思ったらいきなり雨が降ってくるという天候で中断や順延が相次ぎ、センターコート以外のコートはそのたびにネットを外し、シートを張って、雨が止んだらシートを巻いて、ネットを張りなおす、という事を繰り返す有様…。悠長な事やってるねぇ…と呆れつつもそれが伝統の味ってものかしらんと思ったりして。



今年のウインブルドンは、なんと3回戦でジョコビッチが敗れ去るという波乱が起き、彼と同様に雨天順延と中断に振り回されつつも3回戦をストレートで勝ち抜けた錦織には幸先のいい展開に。2セット目までは格が違う感じで、ランキング42位の対戦相手クズネツォフを悠々とあしらっていた錦織だけど、雨で2時間近くも中断したあとはテンションを取り戻すのが大変だったようで、逆に、いいインターバルになったらしいクズネツォフに1ブレークを許していきなり3ゲーム連取される展開に。あれれ?なんだか様子がおかしいぞ、どうした錦織、と思っていたら雨がパラつき出してまたも中断。この20分程度の2度目の中断が再び流れを錦織に呼び戻し、再開後はリズムを取り戻した錦織が3セット目を取ってストレート勝ちを決めました。めでたし、めでたし。



天候による中断などでそれまでの流れを遮られるということがいかに勝負に影響するかということがよく分かる試合でしたねぇ。それにしても、あの屋根なしコートの雨対策はどうにかならんのか。風物詩といえばそれまでだけど、いかに伝統を重んじるイギリスといえども悠長すぎるってもんざます。簡易の屋根とか付けられないの?いまどきの技術ならどうにでもできそうじゃん…と呆れた私ですが、ともあれ、錦織は2度目の中断を見方につけて勝ち進みました。ひゃっほう!なんか脇腹が痛いみたいで大変だけど、Go kei ! って感じですね。8強入りが目標なんてかわいらしい事を言わずに、行けるところまで突き抜けて行ってほしいもんでございます。…まぁ、マリー(マレー)とフェデラーはダントツに強いけどね…。
今年は錦織だけじゃなく、女子シングルスでは土居美咲嬢がベスト16入りを果たすなど、日本は男女ともに躍進していて、それもウインブルドン観戦の楽しみですわね。



そして今年は、ランキング7位のミロシュ・ラオニッチのコーチを、あのジョン・マッケンローが引き受けたというので話題になってるようです。ワタシはたまに気が向いたら試合を見る程度で、テニス・ファンてほどじゃないので、昨今のマッケンローを見たのは今回初めてだったんですが、白髪の爺さんになってて驚きました。まだ50代らしいけど、見た目は60代半ばぐらいの爺さんに見えるマッケンロー。しかし、コートに立てばいまだに鋭いボールを打つことができるとか。それにしても、そのかみの悪童も白髪の爺さんになったか。ひゃ〜〜〜。まさに光陰矢の如し。途中経過を見ていないもので、しばらくぶりに見たらいきなり爺さんになっててたまげましたわよ(笑)


マッケンローの今昔物語

ワタシが覚えているマッケンローはモジャモジャの褐色の巻き毛のやんちゃ小僧だった全盛期の姿です。当時はワタシも子供だったし、彼のプレースタイルがどうとか、そういうことはさっぱり覚えていないし分かりもしないのだけど、マッケンローが跳ね返りの悪ガキで、審判に暴言を吐くのが名物だったのは何となく覚えています。日本でも大人気ざましたわ。そして、名子役だった(当時でも既に過去形で語られる感じだった)テイタム・オニールと暫く結婚してたなぁ、なんてのも思い出しました。当時、二人揃って日本のCMに出ていたのも覚えています。なんだったかなぁ。しょうもないCMだったという事だけは覚えてるけど、二人並んで踊ってました。


お似合いの夫婦という感じだったのだけど…

テイタム・オニールは子役時代が全盛期で、少女時代は同年代のジョディ・フォスターとライバルとして並び称されておりました。でも思春期からハイティーンになる頃には輝きを失っていきます。彼女は被害者としての「ハリウッドの子供」の典型で、不仲の映画スターの両親との関係にあれこれと問題があり、両親が離婚したあと、少女のうちからドラッグを常用し、しかも子役のうちにアカデミー賞を獲るなどキャリアのしょっぱなが華々しすぎた為に余計にバランスを崩してしまった二世俳優の典型という感じですかね。


父親との共演作で、いきなりアカデミー助演女優賞を獲った10歳のテイタム・オニール 悲しいほど父親そっくり

マッケンローとの間に3人の子を成しつつも離婚に至ったのは彼女のヘロイン中毒が原因だったと言われています。この薬物中毒はそもそも父親のライアン・オニールの影響を受けたもので、そのテイタムとマッケンローの息子も、数年前に薬物所持で逮捕されたりしているようです。…因果は巡りますねぇ。罪深きライアン・オニール。
マッケンローは悪童イメージが強いけれども、そもそも弁護士の家に育った坊ちゃんだから、根っこは良識派だったりするのかも。離婚後、3人の子供の親権は彼が持ち、子供の面倒を見たらしいざます。

…と、うっかり脱線した話をテニス方面に戻しますが
マッケンローといえばボルグですわ。そう、あの北欧の物静かなライオンのようだったビョルン・ボルグです。彼についても、プレーがどうこうというような詳しい事は分からないのだけど、圧倒的に強かったという事と、物静かで紳士的でミステリアスで、求道者っぽいたたずまいがナイスだった、という事は強く印象に残っています。彼の全盛期はABBAが流行っていた事もあり、スウェーデンといえば、ボルグとABBAって感じでした。ワタシがガルボ様やビョルン・アンドレセンについて知るのはもう少し後のことです。


マッケンローといえばボルグ ボルグといえばマッケンロー 全盛期の二人

ボルグの全盛期当時(70年代後半)は子供だったワタシですが、ヤンチャなマッケンローよりも、物静かで落ち着いていて寡黙なイメージのボルグの方が好ましいと思ってました。外見の印象では28歳ぐらいな感じがしたけれども、彼は様々な記録を打ち立てて、突如引退した時26歳だったそうな。26歳とは随分早いな。理由は、トーナメントの過密スケジュールに切れたという説があり、燃え尽き症候群の典型とも言われているようです。そういえば伊達公子もまだこれからどんどん上に行かれるという時に25歳で突如現役を引退しましたね。彼女も燃え尽きを起こしちゃったという事なのかな、と推察つかまつってみたりして。
ともあれ、早すぎる引退がボルグを余計にレジェンドにしたという事はあるんでしょうね。(伊達公子は結婚したのち、38歳でクルム伊達公子となって戻って来ました。まだまだ頑張ってちょろろん)


黄金時代のボルグ 風貌はどことなくアラゴルン風味ですかね ふほほ、素敵


たまに見せる笑顔もナイスだった

引退後のボルグは2度も結婚、離婚を繰り返し、事業を起こしては失敗し、けっこうな借金も背負ったりという状態で栄光の現役時代とは対照的な波乱の半生を送ったようですが、昨今はそれも落ち着いたのか、ずっと表舞台から遠ざかっていたものの2007年に引退後初めてウインブルドン決勝戦を観戦し、フェデラーが自分の「ウインブルドン5連覇」の記録に並ぶ瞬間を見守ったとか。フェデラーはボルグの衣鉢を継ぐ選手とテニス・ファンからみなされているらしいですね。
星を継ぐ者が現れて、伝説はいよよ輝きを増す、ということかな。

ボルグは引退後の91年にカムバックを試みたらしいけれども、プレースタイルもラケットも時代に合わなくなっていてうまく行かなかった模様。ワタシは引退後のボルグについては全く知らなかったので、故国の森に快適な別荘でも建てて、世間の喧騒をよそに悠然と余生を送っておられるのかと思ってましたわ。でも20代なかばで引退して、そのまま隠棲生活に入ったら完全な世捨て人だわな。そんなわけありませんわね。しかしまぁ、想像していたよりもずっとドラマチックな栄光と挫折の半生なりね…。あの求道者めいた「アイスマン」ボルグが下着ブランドを立ち上げて失敗していたなんて、人って面白いものざます。でも、ちんまりと自分を守っていないで果敢に色々やってみたんだね、と思うと、全盛期の栄光も含めて、却って人としての魅力も増すような気がします。いろいろあってこそ人生だものね。
そんなボルグも今年60歳。かつての長い金髪は、見事に絹糸のようなムラのない美しいシルバーヘアになり、その長めの白髪も何やらとても彼に似合っていたりして。…やっぱりボルグって素敵なり。


ブロンドは絹糸のような美しい白髪になるのだ う〜ん…ステキング

昨今は、往年の名選手が今のトップ選手のコーチを務める姿が散見されますわね。錦織のコーチをマイケル・チャンが務めているのは周知の事ですが、その他にもゴラン・イワニセビッチが後輩マリン・チリッチのコーチに就任したり、今年はついにマッケンローがラオニッチのコーチを引き受けるなど、かつての名選手がコーチとなってコートサイドを彩っているのは、なかなか楽しい絵面です。マッケンローが出てきたなら、ここらで真打ちボルグの出番じゃないの?と思うのはワタシだけでもないでしょう。伸び盛りの若手選手で、誰かボルグにコーチをお願いに行く人はいないのかしらん。頼んでみたら?割に気安く引き受けてくれるかもじゃない?

5連覇を成し遂げてウインブルドンとは殊のほか相性が良かったボルグ。その佇まいやプレースタイルがイギリス人の気質にも合ったのか、彼は英国でひときわ高い人気を誇るプレーヤーだったとか。確かにイギリス人はボルグみたいな選手、好きそうです。だいたい、英国と北欧って相性が良さそうな気がするし。だからボルグがコーチとしてウインブルドンのコートサイドに現れ、コーチという形で新たな栄光を築く事が出来たら、それは本人以外にも英国のテニス・ファンや、世界中のテニス・ファン、そしてボルグの雰囲気が好きなだけのワタシのような門外漢にとっても、とても嬉しい事なんじゃなかろうかと思う次第。…だから、ねぇ誰か、どこの国の選手でもいいけど、ボルグにコーチを頼んでちょうだいな。

コメント

  • 2016/07/05 (Tue) 12:29

    kikiさん、こんにちは。
    錦織、残念でしたね。
    せっかくの8強入りだったのに、2年連続リタイヤ。
    センターコートは遠かった。
    パワープレイヤーが多い男子テニスより、女子の方を良く観るわたくしですが、やはり芝のコートは余計にパワープレイヤーに有利のようで(ボールが弾まず、滑る)、錦織くんにはやや不利なのかなぁ。
    やはり、フェデラーみたいなオールマイティなプレイが出来るには、チャン(錦織のコーチ)から卒業して、ちょっと不釣り合いなモデルのガールフレンドからも卒業して、より高みをめざさないといけないような…。苦笑
    フェデラーもなんだかんだ言って今年無冠ですか。
    彼は今も超一流プレイヤーだし、コーチはステファン・エドベリだし、奥様も大変可愛らしく品があるし、錦織はやはりフェデラーをコーチに(フェデラーが引退すれば)するとセンターコートも夢じゃないかも?

    マッケンローは…、英国のテレビではテニス中継の解説よりはバラエティ番組に良く出てましたよ。
    オールドグレイになっても、口数は減ってなく、肉もだぶついてなく、元気で、わたくしには若く感じました。

    • Sanctuary #V0sVL5lk
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  • 2016/07/06 (Wed) 22:08
    Re: タイトルなし

    Sanctuaryさん こんばんは。
    本当に残念でしたねぇ、錦織。マイケル・チャンが懸命に無理するな、とゼスチャーしてましたが、本人はやれるものならやりたかったんでしょうね。でも、もし万全の状態でやってたとしても、今年のチリッチは強いので勝てたかどうか分からないですが…。
    錦織はあまりオールマイティを目指すタイプじゃなさそうな気がするんですけど、長身のビッグサーバーに弱い、という弱点をどうにか克服しないとあるところから上に行かれないかもですね。
    今のチーム・錦織はとても仲良しらしいので、なかなかそこを打ち破って別のコーチを頼むってことにはならなさそうな気がします。

    マッケンローについては、しゃべっているのを聞いたり、動く姿を折々見ていれば違和感ないでしょうが、せいぜいでも80年代初めまでしか姿を見ていず、今年いきなり白髪の姿を見たら驚きますよ。どこの爺さんかと思いましたわ。(笑)

  • 2016/07/10 (Sun) 11:50
    No title

    kikiさんこんにちは。

    ラオニッチくん(私はぽこちゃんと呼んでいる)、とうとうやりましたね~。
    老いたりとはいえあのフェデラーを芝で下すとはあっぱれであります。

    録画していたのを観てますとやはりマッケンローの功績大?
    もともとビッグサーバー、でも以外に器用なぽこちゃん、
    ネットプレイにみがきがかかり、カルロスモヤさんのお力か
    ストロークにも光るものがありましたよね。

    『エースをねらえ!』の時代に育った私としては、クリスエバート、ジミーコナーズ、マッケンローやボルグ等々レジェンドたちのプレイを観てたうえに、いままたコーチとして再び輝いている様を
    拝見できるのはこのうえなき喜びであります。

    今夜は決勝戦、地元マリーの優位性は疑うことなしなのですが、
    ビッグ4の一角を勢いのある若い力でどうか崩しておくれ~。

  • 2016/07/11 (Mon) 08:35
    Re: No title

    akoさん こんばんは。
    今夜は決勝で楽しみですね。
    ぽこちゃんですか。はははは。ラオニッチって鼻が上向いてて、何かといえば舌が出て、子供みたいな顔してますね。顔は子供みたいだけど、マッケンローをコーチに迎えた成果が如実に出ているのかメキメキ強くなってきたって感じです。
    一方フェデラーは準々決勝のチリッチ戦で体力も気力も使い果たしましたね。ラオニッチ戦では最後まで電池がもたなかったな、という感じでした。しかし、あのチリッチ戦は凄かったな。大逆転劇で、いい試合でした。チリッチも強くなったなぁ。

    あークリス・エバート。いましたねぇ。クリス・エバート・ロイドと名乗っていた時期をちょろっと覚えていますわ。ジミー・コナーズは顔が嫌いだったのであまり試合は見なかったかな(笑)ワタシもマッケンローやボルグがセンターコートをコーチやゲストとして彩っている姿を見るのはとても嬉しい気分です。いろんな名選手はいるけど、やはりあの二人は格別というか、特別にレジェンダリーな選手だと思います。

    ボリス・ベッカーやエドベリの時代はテニスに関心がなくなって見ていなかったので印象がないのだけど、サンプラス、アガシ、マイケル・チャンあたりの頃はテニススクールに通ってたので、試合中継を割に見てました。イワニセビッチもそのあたりの選手なので印象に残ってます。チリッチって昔のイワニセビッチとよく似たタイプの選手ですわね。その後またテニスに関心がなくなったので中継を見なくなり、だからフェデラーの全盛期は見てないんですわ。気が付いたら、もうそろそろフェデラーも幕引きの時期が来てるような…。
    そして新世代の旗手になりそうなラオニッチですが、ここまで来たらマリーに勝って優勝してほしいもんざます。そして、ラオニッチとチリッチのパワー合戦なども、今後ますます楽しみです。錦織もこの二人に置いていかれないように頑張ってほしいざますね。ふほほ。楽しみたのしみ。

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