「ありふれた奇跡 最終回」および「ヤッターマン」




さて。山田節と俳優達もいよいよ最終回というわけで、予定があってリアルタイムで見られぬため、忘れずに予約録画をしかけておいたこのドラマ。(よく忘れなかったわね、ワタシ ふふ) 今回はこのドラマの感想+映画「ヤッターマン」の感想も合わせ技でサクっと。(どちらも長々語るようなノリじゃないので流し気味に束ねてみました)



まずは「ありふれた奇跡 最終回」から。
前回のラストで突如登場した赤ん坊とその若い母が膠着状態を打破する起爆剤になり、異様に床を急ぐ加奈に鼻白んでいた翔太も、二人一緒に問題に対処した事で自然に結ばれる事ができてめでたしめでたし。また「さみしい星人」の陣内クンにこの彷徨う母と赤子がもたらされた事で擬似家族状態となるのだけど、要は、これ、拡大家族物語?

最終回の面白味はなんといっても母親同士の対面。緑子母さんと戸田母さんの丁々発止のやりとりに山田節炸裂。
破れかぶれで、本音でしかモノを言わない女と、内面グチャドロで表面をとり繕う事ばかりしてきた女の会話だが、短い間にどちらのキャラも鮮烈に出ていて、久々にさすが山田太一、と思った。こんな会話はいまどきの脚本家には書けますまい。女優たちも上手かった。どっちも負けてない。取り繕ってばかり来た女は、自分を飾らないやさぐれ女の言動にムっとしながらもある種のカタルシスを覚える。「そんな事訊いちゃいけない?」の応酬のあと、「…気が強いんだ」と緑子母さん。そうよ、あなた。この手の痩せぎすでちっちゃい女は大抵シャモみたいに気が強いものよ。 そんな気の強い戸田母さんに「しあわせ?」と訊かれた緑子母さんが放つ「しあわせとか、そんな事ばっかりで生きてないから」の一言で女同士は理解しあう。けして友達にはなれないが、相手の立場や本音はよく分かる、そういう関係性だ。このシーンは全編の白眉。さすが山田太一、というところを久々に見せてもらった。

ラストは結局、二人の結婚を頑固な爺ちゃんも認めるということで、さりげに大団円。どうも流れでいくと、そのまま翔太と加奈にはコドモはできぬままのようだけど、最後に妊娠なんてありきたりなラストは、やはり山田太一の取るところではないのだろう。開局50周年とかの特別イベントでなければ民放では企画が通らなかったに違いない地味????なドラマだが、折々脱線しつつもどうにかラストまで行き着いて何より。当初は自分の意志などどこにあるのかという感じだった翔太も、きっちりと自己主張のできる男にいつしか生まれ変わり、オヤジ二人の女装同盟も密かに、より緊密に続くという事でこれもめでたし、めでたし、か。



お次は映画「ヤッターマン」(2008年松竹  三池崇史監督)。
いや?、「ヤッターマン」観るとは自分でも思わなかったけれど、先日、邦画好きの友と話していて「今、一番観たい映画ってなに?」と訊いたら即座に「ヤッターマン!絶対に行くよ」という答えが返ってきた。ヤッターマン???げげげ。そんなもんいまごろ実写映画化してどうすんの?と思ってはいたが、それを観たいと胸ときめかしている人を間近に見てしまったのは二重のオドロキだった。でも冷静によく考えてみたら、この友は数年前に「ゼブラーマン」もいそいそと封切り初日に観に行っている御仁で、筋金入りの三池ファンだったのである。その三池監督がこれだけはどうしても映画化したい、するまで死ねない、という不退転の決意で映画化した作品とあっては、この友が観ないわけもないのだ。…納得。ワタシにしても子供の頃に「タイムボカン」シリーズを観ていた。でも、あまりハッキリと覚えていない。敵役もドロンジョ様だったり、マージョ様だったりするシリーズもあってどれがどれだか判別できない。でも、ドロンジョまたはマージョ様の強力なキャラだけは脳裏にしみついている。SMチックなボンデージ系の衣装にロンドンブーツで部下の間抜け男二人をしばきまくる様子と、コケティッシュでいながら迫力のある小原乃梨子の声で印象バッチリ。とにかく敵役の方だけはよく覚えていた。
映画「ヤッターマン」は、一口に言うならボヤッキー(生瀬勝久)の純情+オマケ的阿部サダヲ独演会といった趣のもので、随所に昔懐かしい「ブタもおだてりゃ木に登る、ブゥ」とか「それ、ポチっとな!」とかのヤッターマン発のギャグがちりばめられている。
主演の櫻井 翔や相棒の福田沙紀も、いかにもアニメからそのまま抜け出してきたようなルックスで、あぁ、そういえばヤッターマン1号、2号ってこんな感じの少年少女だったわ、と忘れていたアニメの方を逆引きのように思いだしたりした。「ポチっとな!」はヤッターマンがオリジンだというのは今回初めて認識したかもしれない。全編に漲る原作への愛は確かにワタシも感じたが、三池氏にもヤッターマンにもさほどの思い入れがないと、「だからってこれを実写映画化することに一体ナンの意味が…?」とよく作ってあればあるほど、首を捻ってしまう。しかも、ドロンジョ様が深田恭子というのは…。

 むちむち

これには賛否両論あるキャストだろうというのは見る前から予測がついたが、コケティッシュな顔やオヤジ垂涎のむちむちボディはともかくとして、声と台詞回しがダメダメ。駄目すぎる。ドロンジョ様があんなにオットリしていてどうするのか。無理を承知で言うなら、ここは「デトロイト・メタル・シティ」における松雪泰子のごとく、吹っ切れた、切れまくりのドSっぷりを発揮して欲しいところである。でなければ、ドロンジョ様じゃないでしょう。そうやってキビシいドロンジョ様にしばき倒されつつもボヤッキーが変らぬ純情を捧げ続けるところに味があるのに…。あんなぬるいドロンジョ様はありえない。深キョンは可愛いかったけどありえない。劇中、ドロンボー一味のかつての声優3人がゲスト出演するシーンがあり、久々に小原乃梨子によるドロンジョのセリフを聞いて、「あぁ、やっぱりこの声でないとねぇ」と遠い目になった。
なお、今回の深キョンの衣装を見ていて、ドロンジョ様はキャット・ウーマンと似たくさいキャラなのねん、などという事もふと思った。深キョンのドロンジョ様にキレがない分、阿部サダヲは思う存分キレまくり。ラスト間近に数分の独演会で、ひとり完全燃焼状態だった。

 サダヲファンは必見か

コメント

  • 2009/03/20 (Fri) 22:04

    ん?ありふれた奇跡、最終回だったんだ。
    来週もあると思って観てたおバカさんデツ!
    はいはい、2人のかーさん対決、面白かったです。最後はとーさんずの止まらないウォーキング。あれ、じーちゃん知ったらどうなるんだろう?
    アイルランドは一体ナンだったんだろう?
    再放送もきっと観るわ、ワタクシ。
    「おくりびと」ようやく観ました。妻役はやはりねぇ~。クフフ。彼女だけダメであと良かった!いや、ほんとダメなのよぉー。彼女の後ろにスキャンダルがワサワサ見えて。植物に囲まれた努ちゃんはドコモのCMにも見えなくないわ。

    • 吾唯足知 #uqr/pqJA
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  • 2009/03/20 (Fri) 23:00

    kikiさんの術策にはまってほんとは連ドラは見ない主義のわたくし、ついでに大後輩の仲間由起恵を見ようかとうっかり鑑賞してしまいました。そうそう、あの母親同士の対決、爽快でしたねえ。
    いいとこの人は怒らさないと挨拶だけになっちゃうからって、 ほんとにそうそう、涙そうそうです。
     仲間由起恵ってどうみても沖縄にはみえない。あの声、セリフ回し、う~ん、(細かくみてると、顔が日によってむくんでたり、意外に腕毛が濃かったりですが)でも声があまりよくないのってもしかして大女優の特徴ですかすね?吉永小百合とか。いやいや由起恵ちゃんはまだまだですけど。

  • 2009/03/21 (Sat) 00:10

    最終回だったのさ~。来週もあると思っていたか。吾さんらしいのう。
    なんか特になにがどうって終わり方じゃなかったけど、そういう風に
    終わらせたんでしょね。山田太一もやりたいようにやり通したわね。

    で、「おくりびと」観たかいな。なんかここまで絶賛されるとそんなにかしらん?とも思うし、あんな職業は実際はないそうだけど、実質モックンが企画から主演まで一人で頑張って評価もついてきたわけだから、良かったわよね。ワタシも広末はあのペカっとした顔と声が強烈にダメなのよ昔から。りえちゃんが良かったなぁと思ったけど、りえちゃんだったら一言も文句言わずについてきてくれる奥さんだわな、と思って、この女房役は誰でもよしとすることにしましたわ。努ちゃんはこの映画は良かったけど、docomoのCMはねぇ。あれ基本設定はいいのに、CMは無内容で詰まんないわね。あれだけ色々俳優贅沢に使ってるのにあんな仕上がりにしかならないなんてお金の無駄なり。

  • 2009/03/21 (Sat) 00:14

    ふうさん、仲間嬢が後輩というと、かの南の島のご出身ですか?いまもそちらにお住いだったりしますのですの?(と素朴な好奇心)
    確かに仲間由紀恵は沖縄っぽくないですが、沖縄の人って沖縄を出てあの強烈な日差しにあたらなくなると、実際は色の白い人が多い気がしますね。それにしても、仲間嬢はマグロ漁師の娘って感じはしませんが。腕毛かぁ。凄いとこに目をつけてますね。腕の毛まではノーチェックでした。仲間嬢の声は悪いとは思わないけど、鼻がつまった感じのしゃべり方は独特ですね。大女優で顔より声がいいかも、なのは若尾文子と佐久間良子ぐらいですかね。わりと悪声の人は、確かに多い気もします。
    そして、あの母さん対決。良かったですね。最後に来たなって感じで。緑子母さんのセリフが全部良かったです。また、緑子さん上手いから余計にあのシーンは良かったですわ。あの人、ああいう役ばっかりになっちゃいそうだけど、もっと観たい感じの女優ですね。

  • 2009/03/22 (Sun) 00:50

    kikiさん、最後は大団円って、そういえば山田ドラマはそういうの多かったような気がしますね。今まで散々あちこちつついて問題を広げておいて、でも最終回では丸く収まる展開ってのが。
    結局ふたりは結婚できることになって、他も上手いぐあいにまとまりそうだし、めでたし~なんだけど、何だかね。ますます山田太一がメッセージするものと我々視聴者とのズレを感じてしまったような(あ~言っちゃった、ヒヒ、でも昔からファンではあるのよ)。
    kikiさんも取り上げてた、翔太が加奈の家で集中攻撃を受けたシーンのあの回、盛りあがって面白かったですよね。あのテンションでもう少し引っぱっていってほしかったなぁ。あの両親のイヤらしさ。特に母親(戸田)ね。夫を非難しておいて、でもやっぱり翔太のことは認めない。そういうずるいところって、実は自分もそうだわ、と(笑) 年頃の娘がいることもありまして。
    井川、風間、岸部、この三人は変に山田節に染まってなくてよかったですね~上手い!
    神戸さんの松重豊は、「ふぞろい~」の小林捻次をお思いだしましたわ、ふふ。
    それから、さみしい星人(きゃは)陣内クンのあの痩せっぷり? 役作りのためだったのがプレッシャーから一層ゲッソリしちゃったとかね。彼はこれで一応、天下の倉本、山田、両氏の作品に出たことになる?


  • 2009/03/22 (Sun) 09:07

    ジョディさん。ほんとほんと、太一作品は、ラストはなんとなく大団円ていうの多いですね。ファミリードラマでシメは大団円にもっていく、というのは山田太一氏が松竹育ちという事と無縁じゃないような気もします。そして確かにね~。太一氏が言わんとしている事と、世間のニーズは別なところにありそうだけど、これが最後の連ドラなら、自身でもその乖離はよく分かっているのかも。でも、随所にやっぱり山田太一だなというシーンが幾つかあって、そこだけは飛びぬけて光っていたのも印象的でした。
    ジョディさんにも戸田母さん的一面はありですか。(笑)でも、不倫どうこうは抜きにして、世間一般のサラリーマンの奥さんは戸田母さんに代表されるメンタリティかもですね。それにしてもジョディさん、潔いばかりに正直ですね。ステキなり。
    神戸さんこと松重氏は確かにね~、そうだそうだ、稔侍っぽいんだ。ふぞろいの稔侍は渋かったですねぇ。あの役で随分その後の俳優人生が変わったと思います。そして井川、風間、岸部は三人とも良かったですね。揃って山田脚本は難しい難しいと言っていたけど、自然にこなしていたのはさすが。殊に、杜夫の闊達自在な活き活きぶりは、見ていて気持ちが良かったです。さみしい星人・陣内クンは、ちょっと病気じゃないかという気がするんですけど…。なんかあの異様なギョロ目ってパセドー氏病っぽくないかしらん、なんて余計な事もふと思いました。余計なお世話だけど、一人、異様過ぎたもので…。

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