US OPEN 2016

−すり鉢の底でラケットを握って闘う剣闘士たちの夏−



今年のUS OPENは、コリコリKeiこと錦織圭が、マレーを破って進出した準決勝で、スタミナ・タンクのワウリンカと深いすり鉢の底で蒸し風呂の死闘を繰り広げたが、やはり準々決勝の4時間に及ぶマレー戦の疲労を、この日の猛烈な湿度がどんどん増幅した結果、刀折れ、矢尽きて敗れた。
ワウリンカは、デルポトロ戦に引き続いてのスタミナ勝ちで決勝へ進出した。
…全くおそろしいスタミナである。日頃なにを食べてるんだろうか。




準決勝戦の錦織は、マレー戦に引き続いて、自分の限界(マレー戦は精神的な限界を突破し、今回は体力の限界に挑んだ)を乗り越えようと頑張っていた。傍目にも見ていて苦しくなるほど頑張っていた。萎えそうになる気力を奮い立たせ、体力を振り絞ってワウリンカと対峙していた。なんだか見ていて切なくなった。

TOPへの道は、本当に険しい。なまじな事ではビッグタイトルは取れない。今回はジョコも調子を落としていて絶好のチャンスだったが、疲れを知らないスタミナ・タンクが、急峻なマレー山の次に控えていたのはコリコリにとって非情だった。
でも、過酷な夏を怪我なしに戦い抜けたし、五輪では銅メダルも獲ったし、US OPENではマレーにも勝った。疲労もあったが、大きな収穫もあったと思う。コリコリが本当に、全身全霊をかけて頑張っていることはヒシヒシと伝わってきた。来年こそはその頑張りが実を結ぶことを祈りたい。…それにしても、スタミナ負けって悔しいなぁ。

テニス選手は一流のトップ選手になれば、賞金とスポンサーからの契約金で年に何十億も稼げるが、激しくしのぎを削るトップ10〜20の選手たちは、過酷でタイトなATPのツアースケジュールをこなしつつ、体調管理をしながら、1つでも上を目指して、世界を股にかけ、戦っては移動、戦っては移動を繰り返して年明けから秋までツアーを続けるわけである。
殊にも年に4回のグランドスラムは男子の場合、1回戦から5セットマッチである。決勝にたどり着くまで、何試合も5セットマッチをこなさなくてはならない。毎回フルに5セット闘うわけではないが、3セットマッチよりも体力を消耗するのは間違いない。2週目に突入するまで生き残ると、今度は戦い続けるための体やスタミナを保っていなくては戦い抜けなくなるのだ。
成功すれば大金も稼げるが、過酷さも並大抵ではない世界である。
今回は、ジョコビッチの対戦相手が2回戦から4回戦まで3人続けて棄権という前代未聞の事態も起きた。今年の夏は五輪も挟まってきただけに、例年よりもさらに厳しい状況ではあったが、体調を崩した選手の中には、五輪をパスした選手もけっこういたのは皮肉なことだった。

体調をキープできなかったゆえの番狂わせでは、ラオニッチのまさかの2回戦敗退が印象深い。これは、かなりビックリだった。そして可哀想でもあった。彼はストレスと熱中症で途中から体があちこち痙攣していたらしい。WOWOWオンデマンドのライブ中継で最終セットのあたりを見ていたが、途中でやめても誰も怒らないから棄権したら?と言いたくなるほどの惨状を呈しつつ、最後までプレイを続けた。彼はなぜ途中棄権せずにそのまま試合が終わるまで頑張ったのだろうか。相手への礼儀か、自分への意地か。ともあれ痛々しい姿だった。五輪出場を見合わせて、US OPENに賭けてもいたんだろうに、暑さ負けか、優勝候補筆頭という世間の期待が重かったのか、ラオニッチは早々にフラッシングメドウズを去った。


苦しげなラオニッチ

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ラオニッチといえば、芝のシーズン限定ということでコーチングスタッフに加わっていたマッケンローが、US OPENが始まる直前にラオニッチとの契約を白紙に戻したという報道があった。別にトラブルがあったわけではなく、マッケンローはテニス中継という市場において、解説者としても引っ張りダコであり、例えばその仕事の一環として、大会前に各選手の元に戦力分析などの取材に回っても、ラオニッチのコーチと兼任の状態ではスパイをしにきたと思われたりするのかも知れず、仕事がやりにくかったのだろう。既に必要十分なスタッフもコーチもラオニッチにはいるから、とマッケンロー。彼は解説者の仕事もかなり気に入っているようなので、どちらを切り捨てるかといえば、自分がコーチをしなければ面倒を見る人がいないというわけではないラオニッチの方になったのだろう。ちなみに、マッケンローは副業としてマンハッタンで現代アートの画廊を経営しており、こちらも成功しているらしい。マッケンローはギターを弾いて歌ったりもするが、現代アートにも目が利くようだ。なんだかニューヨーカーって感じである。
***

そして、前哨戦のシンシナティで疲労困憊のマレーを仕留めてマスターズ1000の優勝を飾ったチリッチも、意外や3回戦で姿を消した。彼はラオニッチのように体調管理に失敗したわけではないのだろうが、五輪組でもあるし、根深い疲労もあったのだろう。
また、五輪はスキップしたのにもかかわらず、キリオスもツォンガもティームも途中棄権になった。今年のUS OPENはいつにも増して過酷な戦いだったのだということがわかる。今大会は、伸び盛りの若手が2週目までコンディションを維持することができず、膝や腰や腕や肩を痛めて、試合が続けられなくなり、棄権するという事が相次いだ。US OPENは、グランドスラムの締めくくりである。2月からずっと各地を転戦し続けてきた選手たちに、トーナメントの疲労が一番重くのしかかる大会なのだろう。ATPは過密なツアーを組み過ぎてはいないだろうか。その合間に国別対抗のデビスカップなど、ATPツアーとは別枠の大会も挟まってくるのだから、TOP選手は一体どれだけ酷使されるか分からない。

TOP10内の中堅世代の旗手たちの早期敗退も印象的だったが、ナダルの獅子奮迅の大奮闘の果てのフルセットの敗戦も印象的だった。
ナダルといえば、2009年ぐらいの頃の、若くてロン毛でイケメンで…というビジュアルのイメージしかないので、ラテン系のロン毛なんて、いかにもチャラチャラと調子こいちゃってるんだろうねぇ…などと思っていた。が、リオ五輪でナダルのプレイを初めてじっくりと見て、その一生懸命さ、そのテニスへの情熱、もう一度TOPに返り咲きたい、という熾烈な思いが、ひしひしと伝わってきて何かしら打たれるものがあった。おまけに、ようやく30歳だというのに、頭頂部はかなりのスダレっぷりになりながら、薄毛隠しにキャップなどをかぶろうとせず、ナイキマークの鉢巻を占めて、まるで高校球児かのように毎回コートに駆け込んでいく。衒いがなくて、まっすぐである。


昔は汗で濡れても髪はたっぷりあったのだが…


いまやザビエル状態がかなり顕著になってきたナダル

早めに薄毛になってしまったのは残念だが、それはそれ。薄毛でも俺はナダルだ、というわけでどんどん薄くなる頭をそのままにしている。(早めにケアした方がいいとは思うが)男らしい。そして、どちらかといえばイケメンの部類に入るだろうに、ナダルがサーブを打つ前の、あの変顔。なんというか、口元を一方に思い切り歪めて「う〜!」とサーブを打つのだが、その顔は何やら一瞬カジモド(ノートルダムのせむし男)もどき。しかし、その人前構わず変顔になりつつも懸命にサーブを打ち込むナダルの一生懸命さが、見ていて何かしら心うたれるのである。

五輪のナダルは準々決勝のデルポトロ戦に全精力をつぎ込み、あらん限りの力を振り絞って試合をしていた。Vamos!!と気合を吐くと、口から炎が噴射されそうなほどに燃えたぎっていた。対するデルポトロも力を出し尽くしてナダルとの試合に勝った。ナダルは実質、デルポトロ戦で燃え尽きそうになっていたのだと思うが、錦織との銅メダルをかけた一戦で、あの長い錦織のトイレ休憩のあとの3セット目、どんなに旗色が悪くなっても敗色濃厚でも、試合を投げず、手抜きをせず、できる事を精一杯やり、最後まで諦めなかった。その姿勢には、錦織を応援しつつもちょっと感銘を受けた。
そして、五輪で銅メダルが取れなかった悔しさをバネに、暫く振りの王座奪回に燃えて乗り込んだニューヨーク。3回戦まで1セットも落とさずに、ぐいぐいと上り調子だったナダルだが、4回戦で当たったのは急成長のフランスの新星ルカ・プイユだった。ナダルはいつにも増して奮闘したが、オールラウンドな才能を持つ、恐れを知らない若手に敗れた。ナダルが戦っていたのは、故障明けの復活途上で、年を重ねて衰え行く自分自身だったのだろう。しかし彼は、まだまだやれる、という手応えがあるから必死で頑張っているのである。どうあっても頂上を望めない状況になれば、自らコートを去るだろう。しかし、まだやれる。まだまだ諦めない。翳りゆく自分の時代、翳りゆく自分のテニス。しかし、年をとったならそれなりのやり方で、きっと頂点に立てるはずだ。何ひとつ終わったわけじゃない…。プレースタイルを変え、取り入れられるものは何でも取り入れて、再び頂点に立つために懸命に頑張っているナダル。あの頭頂部は、来年はまたどれだけ薄くなってしまうのかと思うと何やら切ないが、再びビッグタイトルを手にする日まで、粘り強く走り続けてほしいと思う。頭髪はともかくとして、ナダルはとても綺麗な筋肉がついていて、男性として理想的なプロポーションだなと思う。ことに背筋がとても発達していてピューマのような流線型のラインが美しいと思った。

閃光のように鮮やかに、涙ぐましく奮闘するナダルを葬り去った22歳のルカ・プイユ。準々決勝で当たったのは同胞のガエル・モンフィスだった。ワタシは、ナダルを破ったあの調子ならモンフィスにも難なく勝てるだろう、と思っていたのだが、モンフィス戦のプイユは疲労も手伝って別人のように精彩を欠き、老獪なモンフィスにストレートで敗れた。何か、獲物になってしまった、という観のある敗戦だった。
しかし、長丁場に耐えられる体を作り、精神的にももっとタフになれば、ルカ・プイユはTOP5には入ってきそうな選手だ。ブロンドに薄いブルーの瞳。なかなかのハンサムマンである。これからグイグイ来るだろう。これでコンスタントに強くなれば、彼はATP一座の新たな看板スターになるに違いない。



余裕綽々で自国の若手をいなしたモンフィスだが、準決勝のジョコビッチ戦では、何を思ったかトリッキーすぎて客席からブーイングを浴びるほどの変則的プレイ(というか試合態度)で、何やら奇妙だった。立ち上がりにミスを連発してジョコにあっさりと2セットを取られたあとで、ようやくいつものモードでプレイを始めたが、いかんせんもう遅かった。準決勝の日は湿度が高かったせいか、途中からかなりの疲労をにじませていたが、プイユ戦とは打って変わった珍妙無類な様子で、それも全く功を奏していず、無意味なピエロぶりだった。
今回、ジョコビッチの対戦相手は皆、予期せず調子を狂わせてしまうようだが、モンフィスは棄権はしなかったものの、グランドスラムの準決勝戦を奇妙な茶番に変えてしまった。今のジョコの調子なら、普通にやれば勝てたかもしれないのに、実に妙な男である。


奇妙な道化

ATP一座の看板スターといえば、この夏のUS OPENの話題と人気を一人で浚ったのはデルポトロだった。再三にわたる手首の故障と手術とリハビリからの復活、という物語性と、五輪の1回戦でジョコビッチ、準々決勝でナダルを破って銀メダルに輝いた実力は天下に隠れもないし、2009年の全米覇者でもある。こんなおいしい金看板を協会が放っておくわけがない。デルポはこの夏の台風の目であり、ランキングとは無関係にメイン・イベンターとして遇されていた。事実、彼を目当てにフラッシングメドウズに押し寄せた観客も相当数、いたに違いない。デルポの試合は常に超満員という感じだった。



破壊的なサーブと豪快なフォアハンドという武器を持ち、身長は198cm。しかし、力とスピードだけのビッグサーバーなどとは一線を画すテニスの巧さ。鮮やかさ。なんでも出来るし、なんでも上手い。普段はノソノソしているが、いざとなったら脚だって早い。豪快なだけでなく、繊細なプレーも鮮やかに決められる。おまけにマナーが良くて紳士的で愛嬌がある。そして涙の復活物語を背負っている。これで人気が出ないわけがない。アメリカ人がデルポに熱狂している様子が、試合中継を見ていても伝わってきた。


愛すべき「タンディルの塔」はアメリカでも大人気

かくいうワタシも、デルポが大好きだ。大きな体の草食動物のようなオットリとした雰囲気や、淡い水色のイノセントな瞳(本当に少年みたいな瞳である)、おおらかなハンサムマンで10頭身ぐらいな体のバランス(20cmも背が高いのに、錦織よりも顔が小さい)。そして、勝負師には不向きじゃないかと思えるほど、穏やかで人が良さそうなその表情と佇まい。ラテン系なのにシャイ。そして何より、彼のスケールの大きなテニスっぷり。スパーンと気持ちよく1stサーブが決まるのを見るたびに、錦織もこういう感じで1stサーブが決まればねぇ…と思ってしまう。しかし、そのデルポも累積疲労からか、ワウリンカ戦ではWフォルトを連発して精彩がなかった。なんだかもう、グランドスラムを勝ち抜くには、テニスの腕前もさることながら、1に体力、2に体力、3、4がなくて5に気力、という感じである。

3時間を超える試合になったデルポ−ワウリンカ戦は、現地の深夜1時を過ぎてもまだ試合が続いていたが、その時間になっても7割ぐらいの客がずっと残ってデルポに大声援を送っていた。最後の最後に敗色濃厚なデルポにむけて、スタンドのファンからの「オーレ、オーレ、オーレ、オーレー、デルポー、デルポー」という例のサッカーの応援風の大声援が降り注ぎ、スタジアムにこだました。アルゼンチンからのファンだけでなく、大多数のアメリカのファンも一緒になって合唱し、負けそうなデルポにエネルギーを送っていた。これに感激したデルポは試合中に涙ぐみ、試合後に「生涯忘れない」と語った。


深夜1時を過ぎても館内をどよもす声援を送ってくれるファンに感涙のデルポトロ

翻れば、スタジアム内の9割以上がデルポのファンであるという、完全アウェイ状態でも一向に意に介さず、衰えないスタミナと気力でデルポを仕留めたワウリンカは底知れぬ図太さを持っていた。今大会のワウリンカは、前半は調子がよくなかった。格下の相手にあわや負けるか、というところまで追い込まれたりしつつも辛くも勝ち残ってきた、という感じだった。だから皆、準々決勝ではデルポの勝利を予想していたが、大舞台に強いというワウリンカは、花形スターのデルポとの対戦を手ぐすねを引いてじっと待っていたに違いない。看板スターを食って俺がスポットライトを浴びてやる!という熾烈な思いは、長年、「スイス第2の男」という立場で、同国のスター、ロジャー・フェデラーの陰になってきた悔しさから生まれたものではなかろうかと推察する。


血液がタウリンなの?と思うほどスタミナが尽きないバブりん

格下の相手とやっても気合が入らないので危うく負けそうになったりするが、相手がデルポとなれば話は別だ。いやが上にも盛り上がる。気合が入る。そして彼は、デルポとの一戦で確実にそれまでよりもギアを一段も二段も上げてパワーアップしてしまった。覚醒したという感じだった。その勢いのまま錦織戦にもゴリゴリとタンクのように押してきた。マレーに勝って注目の集まる錦織は、ワウリンカにとっては願ってもない対戦相手である。是が非でも勝とうと気合が入る。いたいけな錦織のスタミナは、人の陰になる苦しみを馬力に変えてきた男の無尽蔵なスタミナと熾烈な存在証明意欲に、徐々に消耗させられてしまったのである。

ともあれ、確実に世代交代、TOP層再編の波が訪れようとしている男子テニス界。
来年はますます面白くなりそうだ。

この下克上は女子テニス界にも巻き起こっており、ほぼ3年の間、No.1の座を譲らなかったセリーナ・ウィリアムズがついにTOPの座をケルバーに明け渡し、準決勝でUS OPENからも消えた。ワタシはセリーナ・ウイリアムズに何の思い入れもないし、逆に、見た目にも暑苦しいのでそろそろ入れ替わった方がいいと思っていた折から、実に結構なことだと思った。ビーナスとセリーナ(しかしこの名前!)のウイリアムズ姉妹の名前を最初に聞いたのは、もう随分前のような気がするけれども、ワタシはここ10年ほど、あまりちゃんとテニスを見ていなかったので、今年、久々にテニスを見ていて、二人がまだやっていることにかなり驚いたりした。もう、いいと思う。

アンジェリーク・ケルバーがすごいのは、オリンピックにも参加して銀メダルという成果を出した上で臨んだUS OPENで、連続攻撃のカロリナ・プリスコバと、フルセットの末に守って走って優勝を勝ち取ったということである。
まさに王道を歩んで掴んだUS OPENのタイトルと女王の座。あのシュテフィ・グラフ以来のドイツ出身No.1選手が遂に現れたわけである。

余談だが、ケルバーはヨネックスのラケットを使っているが、男子の決勝に進んだスタミナ・タンクのワウリンカもヨネックスのラケット(この人はウェアやバッグまで全部ヨネックス)を使っているので、ヨネックスの関係者は、かなり嬉しいだろうと思う。また日本企業ということで言えば、US OPENの公式な時計は、ロンジンでもオメガやロレックスでもなく、我らがシチズンである。日本企業もけっこう有効に宣伝費を使いつつ頑張っているな、と思ったりした。SEIKOは何をスポンサードしているのかな。


女子テニス界の新しいヒロインたち

女子の決勝も面白い試合だったし、今回は準優勝だったが、まだ24歳のチェコの刺青ねーちゃんプリスコバは、今後ぐんぐん出てくるだろう。力んでアウトしてしまうようなミスが減り、もっとスタミナがついて、ショットにも正確さが加わったら、あっという間にNo.1になる可能性もある。おまけにプリスコバは186cmの長身でモデルのようなスリム体型。シンプルでスタイリッシュなFILAのウェアがよく似合っていた。彼女は錦織×マレー戦もスタンドに観戦に来ていて、スマホカメラで多分、錦織を撮っていたようなシーンがTVに映っていたけれども、自身もセリーナとの試合の前日で、何かヒントを得に観戦に行っていたのかもしれない。

そして、見た目はダイナマイト、しゃべると乙女ちっくでかわいい大坂なおみは、日本期待の大型新人だ。このUS OPENでも十分に大物の片鱗を見せたが、一面でまだ18歳の乙女の精神的なかよわさも見せた。場数を踏んで鍛えられたらTOP10〜TOP5も夢ではないだろう。楽しみである。

ともあれ、オリンピックが終わったら、いくらもしないうちにUS OPENが始まって、ワタシの寝不足度もかなり深刻になってきていたが、それもようやく終わりである。男子の決勝は見なくても結果は明らかなような気がするので(もしここでワウリンカに予想もしないような事態が起きたら、それはまさに『ジョコビッチの呪い』と言ってもいいだろう)、ようやくゆっくりと眠れるが、何か、本当に祭りが終わってしまったという夏の終わりの虚脱感もある。

祭りといえば、アメリカは本当になんでもかんでもエンターティメントにしてしまう国なので、フラッシングメドウズのテニスセンターも、ほとんどテーマパーク状態らしい。良し悪しはともかく、開催国のカラーがそれぞれ現れるのもグランドスラムの各大会の味なのだろう。ワタシはやはりウインブルドンの雰囲気がTVを通して見ているだけだが、もっとも好ましいと思う。ロイヤルボックスに綺羅星のごとく居並ぶかつての名選手たちや、あのセンター・コートも屋根は付いたがすっきりとして優雅でスマートだ。US OPENのセンター・コートはモンスターすぎる。客席を作りすぎで、すり鉢が深すぎる。なんというかあまりにもアメリカ的である。おまけにそこに無理に屋根をつけたので、風が巻かなくなったのはいいが、風が入ってもこなくなり、蒸し暑くても雨がふりそうもない日は、過酷な蒸し風呂と化すことになる。また、7分で閉まるのはいいが、あの天井を閉めると会場内の音が全て増幅されてコート上に降りかかってくるとかで、客の話声や歓声で、選手たちが何も聞こえないほどの騒音になるらしい。153億円もかけて付けた屋根は、雨天順延がなくなったという利点以外に、さまざまな問題点も露呈したようだ。まずは閉めた時の音響対策を考えることが第一か。また、湿度が50%を超える日は、雨か晴れかにかかわらず屋根を閉めて屋内状態にしてエアコンを効かせるなど、何か対策を考えた方がよさそうである。でないと、(ワウリンカを除く)選手たちが、殊に我らがコリコリが、可哀想すぎる。
おまけに度々、突発的な爆音を試合中に響かせたPAのトラブルなど、あまりにショー的に盛り上げようとしすぎた結果、逆に試合の妨げになるような事態も起きていて、対策を早急に打つべき事が多い大会でもあった気がする。

そういえば、屋根が付いて新しく生まれ変わるので、1996年までセンター・コートだったルイ・アームストロング・スタジアムは、今年のUS OPENで役目を終え、改装に入るらしい。1978年にこのスタジアムが出来て、最初に試合をしたシングルスの選手は、あのビョルン・ボルグだったとか。そして2016年、このコートでの最後のシングルスのマッチを勝利で飾った(対カルロビッチ戦)のは、我らがコリコリkeiこと錦織圭だった。その事をどう思うか、と試合後のオンコート・インタビューで聞かれたコリコリは、光栄に思う、いい試合が出来て勝てたので良かった、とありきたりな返事をしていたが、この質問の肝は、このコートで最初に勝利を飾った選手がビョルン・ボルグだった、そしてあなたが最後を飾った、という点にあるのだから、そこを踏まえた返事をすべきなのである。例えば、「そういうレジェンダリーな選手たちの歴史を刻んだコートで最後に勝利することができて、非常に光栄です。もしかしたら、僕もレジェンドになれるかな」とかね。



コリコリについては、すべからく、海外プレスのインタビューに対してもうちっと気の利いた事が言えないものかと時折思う。少し残念である。言葉に不自由はしないんだから、もう少しオツな事が言えるようになると、もっと素晴らしいんだけどねぇ、などと思いつつも、錦織圭の活躍と大奮闘には心からの拍手を送るワタクシである。

収穫も多かったけど、大変な夏でもあったし、デビスカップのプレーオフまでの短い数日、できる限り体を休めてほしいと願っている。

コメント

  • 2016/09/13 (Tue) 12:50
    No title

    kikiさんこんにちは。

    五輪(パラは競技中ですが)、USオープン、ついでにカープの優勝と
    熱い夏もようやく終わりを告げようとしていますね。

    最近テニスの話題が多くて私としてはうれしいかぎりです。
    ラファ・ナダルの登場、首を長~くしてお待ち申しておりました♪
    ワイルドに見えるけど実は繊細(神経質ともいう)で
    暗闇が怖くてイヌが苦手、だそうな。

    彼のすごいところはスペインマヨルカ島の裕福な家庭に生まれ
    ハングリー精神がないといってもよい環境で超一流のプレイヤーになったことですか。
    いいのか悪いのかはわかりませんがラケットをたたきつけている姿は
    見たことがありません。
    今は故郷にテニスアカデミーをつくり、子供たちの育成に力を入れているらしいです。
    着々と引退に向かって準備ってとこですね。

    長年おつきあいしているGFとのゴールインも引退後になるんだろうな。
    てっぺんがこれ以上進まないうちに華燭の典をと思うのは私だけでしょうか?

    今週末はデ杯入れ替え戦。錦織くんも東京入りしたそうですが、
    まだまだ続く過密スケジュール、試合以外で煩わされることなく
    がんばってほしいものです。

  • 2016/09/14 (Wed) 22:45

    akaさん こんばんは。

    そうですね。夏も終わりという感じですね。今週は少し涼しくなったので余計にそう感じますね。

    ナダルはかなり神経質ですよね。几帳面だったりもするのかな。癖になっている動きがあって、それを無意識にか意識的にか必ずやる、という感じですね。サーブの前に両耳に髪をかけるような仕草をして、鼻筋をなでる、というのもパターンだし、飲みかけのペットボトルをやけにゆっくりと慎重に足元に置くのも癖ですわね。そうやって集中しているのかもしれないけど、ちょっと奇妙です。
    なんか、おうちが良さそうな感じは漂ってますよねー、彼のファミリーボックスに。おじさんがコーチだし、ナダルはどれだけ稼いだかわからないけど、今も生まれた土地にそのまま住んでるし。そういう人って家族愛と郷土愛が強いんでしょうね。デルポも生まれた土地に今も住んでいるようですが、彼も幸せな子供時代を送って、同胞愛、郷土愛が強いタイプですね。
    ハングリーじゃない環境から、あのガッツがよく生まれてきたな、という感じですね。そして確かにラケットに当たったりするような事はないですね。その点、ジョコビッチと対照的なのかも。ジョコを筆頭とする、あまり裕福ではなく、内戦があったりした東南ヨーロッパの国出身のプレイヤーは、テニス=人生で、ラケットに人生の浮沈をかけて生きている感じだから、ナダルとは異なるメンタリティを持っていそうです。

    ラファ・ナダル・テニスアカデミーというのを作ってるんですってね。成功できなそうな子供のために、大学に進めるように勉強の方も面倒を見る準備があるらしいです。
    ナダルの彼女も映ってましたが、とても美人でしたね。テニス選手の彼女や奥さんは美人が多いけど、ナダルの彼女が一番美人じゃないかな。マレーの奥さんは美人で有名だけど、US OPENではあまり美人に見えなかったですわ。ヒステリー女みたいな強い顔しててる事が多かったからかな(笑)

    コリコリはデ杯の入れ替え戦に向けて、けっこう燃え上がっているようなので、いい試合をしてくれるんじゃないですかね。はたから見てると、この前まで大変な思いをして戦っていたのに、またそんなところで酷使されちゃって…という気もしなくもないのだけど、一人で頑張っていたGSなどが終わって、合間にチームメイトというものが存在するデ杯のような試合が挟まるのも、選手にとっては結構大事な事なのかもしれませんね。気分転換にもなるんだろうし、ナショナリズムも満足するしね。

  • 2016/09/19 (Mon) 12:06
    トップを狙う選手達!

    こちらへも、失礼します(^.^)

    トップ4に割って入るのは、錦織の他にもゴロゴロいらっしゃるんですよね。
    ワウリンカ戦の錦織、写真を見るだけで体がちりぢりに消耗してそうなのを伝えてきます(;_;) 体力を絞りきり肉片と化してしまった、、、そんな感じがします。
    錦織だけでなく、他も選手も消耗に次ぐ消耗で体を削いで闘っているんじしょうね。
    そこが我々の心を掴むのでしょうね。

    ほんとワウリンカは何を食べてるんでしょうか。フェデラーの陰に甘んじていた悔しさを食べ続けて、無尽蔵のスタミナを持つ化け物タンクになっちゃった?!今後トップを狙っていく上で、難的になりそうです。

    それでも錦織に勝たせてやりたい!タンクに穴を!と思うのがファンの心情、これからも応援していきます。

    kikiさんはセリーナ姉妹、お好きじゃなそうですね。わたしファンなんですー♪(^。^) 首が短めであの体格だから、確かに暑苦しそうな見た目ではあるんですが、その見た目で、ぷりぷりの可愛いポーズで喜んでみせたり、野獣と見紛うばかりボールに突進して食らいついてみたり、涼しい顔してみたりと表情豊かに面白く観せてくれる選手だなーと(^.^)
    彼女からパワーの衰える日がやってくるとは考えたくないけれど、やってくるんたのうな。
    誰よりもブ厚い体にオシャレを楽しんでやってる感じだし、自分の強さを奔放に楽しんでる感じもいいなーと(^.^)
    (お姉さんはまっすぐな脚がキレイです。)

    錦織くん、体の厚みでは負けちゃうんじゃないかな。

    大阪なおみが、雰囲気なんとなく似てるのでどんな選手になってゆくか、今後楽しみです。

    この会場はほんとに高さがあって深いですね。なるほど「摺鉢の底」\(^o^)/!!

    10月の楽天オープン。有名選手たくさん来て欲しいですね。
    錦織くん、そのときにこっそり上手い受け答えを習っちゃいなさいよ!なんてね(*^o^*)
    ※思ってる事を出来るだけ正確に言葉にするって、(聞きとり力も)難しい事だとヒシヒシ感じてるので(*^o^*) インタビューコーチ、なんてね!(今浮かんじゃいました)m(_ _)m




  • 2016/09/19 (Mon) 22:14
    Re: トップを狙う選手達!

    edyさん こちらにもありがとうございます。
    ワウリンカも疲れていた、と言うんだけど、本当に疲れてたらそんなに動けんだろう、と思いますよね。でも、決勝では本当にかなり疲れていたみたいで、最後の方は脚も痙攣しかけてたらしいですが、そうは見せずに踏ん張ったようです。本当に今回のワウリンカは2週目に入ると一試合ごとに強くなっていったような感じでした。もう見なくてもいいや、と思っていたけど、ふと、その日、朝6時前に目が覚めて、そういえば決勝戦はどうなったかな、などとTVをつけてしまったら、またずっと見てしまって(笑)会社に行くギリギリの時間で試合も終わりましたが、朝の支度をあれこれしつつも見た決勝戦は、これまたすごい試合でした。ジョコビッチもなんとか勝とうと必死に頑張ってましたわ。なんかもう、決勝戦あたりまで来ると、並大抵じゃない体力と精神力が求められるのだねぇ…という感じ。体も目一杯使うけど、頭も目一杯使わないと勝てない。そして勝負への執念がなくてはならない。どれも人の何倍もフル稼働させられる人じゃないと頂点に立てない。怪物しか生き残れないというか(笑)つくづくと錦織が戦っているのは猛烈な世界(かいじゅうたちのいるところ)なんだな、と実感した決勝戦でしたわ。

    ワウリンカは大舞台には強いみたいだけど、それほどでもない舞台では気合が入らない時もありそうなので、波がありそうですね。コリコリが次に対戦する時に、あまり疲れていなければサクっと勝てるんじゃないかと思うんですけど。楽天オープンは、ワウリンカも来るし、デルポも来るし、チリッチやモンフィス、キリオス、ゴファン、ベルディヒなども出場予定のようです。なかなかの顔ぶれです。それをコリコリが迎え撃つわけで、誰が勝つのかとても楽しみです。コリコリだけでなく、日本からは期待の若手、西岡とダニエル太郎が出るので、彼らがどこまで勝ち上がるのかも楽しみですわね。

    セリーナはちょっとねぇ…。見た目が暑苦しすぎるというか。セリーナというより黒牛という感じ…って失言でした。申し訳なし。ビーナスは確かにすらりとしてて脚なんか綺麗ですよね。でも妹のほうは、あんなガッツンガッツンした感じで、けっこうヒラヒラのスコートをつけたりするのがどうも…。風で捲れあがっても誰も嬉しくないというか…言い過ぎか。失礼。
    でも、彼女の時代は過ぎ去ろうとしているような気配ですね。年齢には勝てないざます。

    セリーナはちょっと…だけど、大坂なおみは好きですよん。彼女かわいいですよね。プレイは迫力あるし、見た目もボンバーなんだけど、しゃべると声がハイトーンで可愛い。そのギャップがいいですね。来年どこまで躍進するのか、すごく楽しみです。

  • 2016/09/20 (Tue) 00:43

    セリーナ妹への失言だなんて、とんでもないです!好みが友人と逆だったりする事よくあるし!黒牛!なんでだろう?褒められてる気すらします!かくいう私も、セリーナ妹にあだ名付けてるんです。決して喜べないだろうアダ名です。パワー肉団子。というんです…(敬愛込めて)言っちゃった\(^o^)/
    そうなんですよ〜誰よりも目立ち、ヒラヒラのユニフォームを着ますよね。ウィンブルドンでは白と固定されてるので、形だけで勝負してくるあたりも楽しみの1つなんでして。特に今年は良かったなー(ムキムキの肩が強調されるデザイン♪)

    錦織とデルポ、1つしか歳が違わないんですね⁉︎ オドロキです。
    錦織の他に胸を燃え立たせる誰か、出来るかなぁ。デルポ、確かに見た目イイですよね。思い入れができれば、グッとファンになるんだろうな。わたしはまだこれからなのかも。もっと見ていくためにも怪我せず来年も、かいじゅうたちのいるところで活躍してもらわなきゃ。

    映画もドラマも今は殆ど観れてないのですが、kikiさんとコメントし合え嬉しいです。ありがとうございます。またkikiさんのよろず好ましい事を読ませてもらいにやって来ます(^-^)/

  • 2016/09/21 (Wed) 23:03
    Re: タイトルなし

    edyさん こんばんは。
    パワー肉団子。なかなかエグいですね。でも愛情も感じますよ。ふほほ。

    > そうなんですよ〜誰よりも目立ち、ヒラヒラのユニフォームを着ますよね。

    何か、あれが痛い感じがしちゃってね…。だいたい、彼女らの母親からして、娘の一人にビーナスなんて名前をつけるってのは、相当なもんですわね。普通、つけないわ。子供が可哀想だし(笑)そういう母親のメンタリティが、娘たちにも微妙なところに出ているのではないかという気がしますが…憶測なのでここらへんにしときます。

    デルポは、のそーっと大きいので、気にいるかどうかはその人次第かなという気はしますが、ワタシはなんとなく好きなんですわ。彼は今年、鮮やかな復活劇でテニスファンの喝采を浴びましたが、以前にも右手首を怪我して1年休んだあと、目覚ましく復活してTOP10に返り咲いたと思ったら、左手首を怪我して今度は2年もツアーに出られなくなったりしているので、来年は怪我しないように、本当に気をつけて欲しいと思います。まぁ、本人が一番そう思ってるでしょうけれどね(笑)
    来年も、怪我なく大躍進してほしいと願っています。また怪我なんかしたら可哀想すぎる…。

    その時、その時、「お!」と思った事を書いている適当なブログですが、お好きな時に読んでいただいて、気が向いた時にまたコメントしてください。

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