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「ジェイソン・ボーン」(JASON BOURNE)

−かくてボーンはさすらい続ける、らしい−
2016年 米 ポール・グリーングラス監督



このところ、猛烈に忙しくてブログどころではなかったワタクシ。やっと一段落してふと気づくと、街に「ジェイソン・ボーン」のポスターが。あれ!もう封切りなのね。もうそんな時期なのか…随分先だと思っていたけど、そういえばもう10月じゃないのよ。ひゃ〜〜〜早い!!というわけで、密かに楽しみにしていたので早速チケットを購入したものの、何やら意外に評価が高くない様子。ほほ〜ん。面白くないのかしら…。でももうチケット買っちゃったし、一応、観に行ってみるか、と映画館に足を運んだ。




マット・ディモンが再びポール・グリーングラス監督と組んで「ボーン・アルティメイタム」(2007)以来、9年ぶりに世に送り出したシリーズ最新作、という事で、春の終わりぐらいからけっこう楽しみに封切りを待っていた本作。

確か、アルティメイタムのあとで、次回作は監督がポール・グリーングラスから別の誰かに交替するかもしれないという話があり、グリーングラスと以外はやらない、とマット・ディモンが言っていたような気がするが(うろ覚えな事ばかりで恐縮だけれど)、今回は、こんなに時間が経ってから、どういう経緯で再びコンビを組んでボーンを撮ることになったのかわからないけれども、ディモンもグリーングラスとなら、ということで出演したのだろう。

この二人のコンビでボーン・シリーズとくれば、観客はいやが上にも期待する。「アルティメイタム」は面白かった。前2作を未見の段階で封切り時に見た時に、ああ、なるほど確かに面白い、と思ったのを覚えている。
で、今回はどうだったかというと…。

まぁ、確かにボーンではある。手持ちのカメラで臨場感を出した映像、スピーディな展開、常に追われながら世界各地を移動するボーン…。しかし、全てに既視感がある。ボーン・シリーズとしてのアベレージ・ラインはそこそこクリアしているとは思うのだが、9年も経ってから続編を作るなら、そこに何かしら新機軸がなければならない。おまけに、今回は脚本がかなり雑だったような気がする。ストーリーや設定が冴えない事が全体に影響しているということかもしれないが、まぁ、確かにボーンなんだけど、なんだかなぁ…という出来になってしまっていた。



だいたい冒頭からして、何だって中東かどこかの埃っぽい砂漠で、ボーンがストリートファイターなどをやっていなければならないのか、首をひねってしまう。いくらCIAに追われて地下に潜っているからといっても、他に設定のしようもあったのではないかと思う。なんだかグラディエーターの出来損ないみたいで、どこかで見たような設定の継ぎ合わせのように感じた。地下に潜って追跡から逃げているが、そのまま荒んだ生活を続けていたらいずれ死んでしまうという感じを出したかったのだとは分かるが、ここからして既に「なんだかなぁ…」な気配が滲んでいて、う〜む…と思った。



かつての同僚ニッキー・パーソンズを演じるジュリア・スタイルズの姿には懐かしみを感じたけれども、とにかくストーリー展開が粗い。今回、ボーンの敵役を演じるのはトミー・リー・ジョーンズだが、あまり捻りもない役で、演じていてつまらなかったのではないかと推察。おまけに、久々に見たらまた一段と爺さん化が加速しており、アップになった目元を見ていたら、猿山の長老的な猿の風貌を思い浮かべてしまった。



そのトミー・リーの手先の殺し屋を演じているのはヴァンサン・カッセルだが、これもあまりにも演じがいのない役で、ヴァンサンじゃなくても誰でもいいじゃないのよ、こんなんじゃさ、という感じだった。ヴァンサンはいつ見てもこんな役ばかりやっている気がするが、大丈夫だろうか。本国フランスではもうちょっと毛色の違う作品にも出ているのだろうとは思うけれども、あまり詰まらない役は引き受けない方がいいのではないかと、余計な世話だが気を揉んでしまった。



CIAの情報部門の責任者であるヘザー・リーを演じているのはアリシア・ヴィカンダー。エヴァ・グリーンから妖気を抜き去ったような容姿で悪くはなかったが、いささか地味な印象ではあった。しかしまぁ、美形女子が登場しないことで有名な?ボーン・シリーズとしてはまずまずのヒロインぶりだったかもしれない。が、前作にCIA側の切れ者として登場していたジョーン・アレンに比べたら、なんだかなぁという小粒な小娘っぷりで、存在感はまだまだだった。



ボーンを演じるマット・ディモンは、まぁ、一応ボーンではあるのだが、何かピリっとしない印象だった。前作からあまりに間が空きすぎたので、今更、本当の自分捜しとかをテーマにされても観ているほうも乗れない感じである。やはり本作は、ストーリー自体が雑で陳腐なのが一番、その出来に響いたといえるだろう。
ポール・グリーングラス+マット・ディモンでボーンの新作とくれば、みな一様に期待するわけだが、本作は期待に応えられなかった残念な作品ということになりそうだ。面白くないとも言い切れないが、面白いとも言えない。要は、9年も経ってまた同じことを繰り返されてもしょうがない、という事に尽きる。

「本当の自分をみつけるまで、満足などできない」というのが、この作品のキーワードらしいのだが、あまりに突き詰めていくと、「本当の自分」てなに?という哲学的なところに行ってしまういかねないテーマではある。それならそれでいいのだが、むろん、本作はそんな次元には達していないので、ただひたすらに何だかなぁ感だけが観客を浸すのである。



もっと新しい切り口で、テーマも基本コンセプトである「本当の自分捜し」のほかに、新たに別なものを忍ばせておく必要があったのだと思う。本作では、一応のサブテーマとして、国家権力によるネットの監視−−個人の情報やメール内容、ネットでの閲覧履歴などが国の情報機関に全て把握されてしまう事に対する警鐘みたいなものは出ていたけれども、ちらっと今時のテーマを出してみました、というに過ぎず、いかにも間に合わせな印象だった。

全ては、9年も経って再び作る意味があるかないか、というところに懸かってくるわけだが、本作は残念ながら、その意味がなかったといえるだろう。何年も経っているのに、千年一日のように同じ事を繰り返しても無意味である。しかも、前作ほどの緊迫感もなく、前シリーズを表層的になぞっているだけのような作品では、このシリーズのファンを満足させることなど、到底できまい。大ヒットシリーズの続編といのは、ただでさえ難しいものではあるのだが、このシリーズは3作目までずっとうまく続編を作ってきた。殊にも3作目の「アルティメイタム」は面白かったし、盛り上がっていた。見終えたあとにカタルシスも感じた。その「アルティメイタム」の後だけに、余計に難しかったのだと思うけれども、それにしても、である。
これという脚本ができなかった場合は、製作しないという事も選択肢の1つではある。それができない状況もあったのかもしれないが、これはのちのち、ボーン・シリーズの中で、「無かった事にされる作品」ではないかと、ふと思った。ましてや、これを軸に新シリーズを作っていこうなんて甘い事は、ゆめゆめ考えない方がいいだろう。

コメント

  • 2016/10/16 (Sun) 09:03
    最後通告だったんじゃ・・・・

    kiki さんこんにちは.

    この映画のことを以前知って、今頃どうして・・・・・って思いました.
    そもそも、スピンオフともいえる "ボーン・レガシー" の時でさえ首を傾げてしまったくらいですから (笑)

    やっぱりジェイソン・ボーンは、あの三部作ですよねぇ.
    ジョアン・アレンやデヴィッド・ストラザーンといった脇役もとてもよくって、最近のアクション映画とは一線を画す硬派のアクション映画で大好きでした.
    DVD購入した後、さらに輸入盤のBlu-ray (日本語字幕あり) までついつい購入したくらいです.

    心なしかニッキーが老けて見えるのは気のせいなのかな (笑)

    この映画については、ボクも映画館で観るほどではないかなぁと思っていましたが、kikiさんのブログ読んでさらに納得でした.

  • 2016/10/17 (Mon) 22:12
    Re: 最後通告だったんじゃ・・・・

    la_belle_epoqueさん こんばんは。
    ですよね。「ボーン・レガシー」も一応見に行ったんですが、なんだかなぁ…という感じでした。だから余計に本家本元が再始動するというので、どんなものか見たくなってしまったわけですが、う〜〜〜〜む、という感じの作品でした。
    前のあの三部作のままでやめておけば本当に良かったのに、なんで今更、またやることにしたんでしょうね。あんな脚本で。

    ニッキーことジュリア・スタイルズは、それなりに老けてたと思いますよ。いや、ちょっと大写しはキツイぞ…と思ってしまうシーンもあったりなかったりで(笑)

    確かに映画館で見るほどではないかもです。来年あたりWOWOWで見るというので十分ですわ、多分。 ふほほ。

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