上々台湾(シャンシャンタイワン)第二夜

−秋の台北ぶらり旅 その2 九份の雨−



11月ごろというのは台湾を旅するのに最もいいシーズンとか。確かに暑くもなく寒くもなく頃合いでしたわ。東京では少し寒くなり始めたところだけれど、台北では日中は20度ちょっとぐらいあったので、時折降ってくる雨対策に折りたたみ傘さえ持っていれば、あちこち歩き回るにはもってこいの季節、気温だった感じです。

さて、2日目はゆっくり起きて、台湾風の朝ごはんというのを試してみようということで、ホテルから徒歩10分程度のところにある「永和豆漿」に行ってみることに。そこの息子さんなのか、高校1年生ぐらいの男のコが「日本語はわからないけど英語なら話せるよ」と達者に迎えてくれました。


作業場というか調理場が店の出入り口脇にあり、奥に客が腰かけて食べる席があるが、作業台と兼用になっていたりする

豆漿というのは豆乳のことらしく、屋号に「豆漿」と入っているのは台湾の朝飯屋さんらしいざます。有名な油條というのを一応、食してみようと思ったので頼み、それだけでもナンだからというわけで何か飲むものある?と聞いたら、このあたりがそうだ、とメニューの一角を指し示すので、その中で勘で選んだのは、青ネギの刻んだのが入っているらしきもの。ネギの入ったスープみたいなものを想定してオーダーし、空いているテーブルに適当に座って待っていると、クレープに包まれた揚げパン(油條)と、刻みネギの入った、クリーム色の地にところどころ黄色い油の浮かんだ豆乳の椀(豆漿)が出てきました。一目見るなり、何やら失敗の予感が…。


うぅ〜む…微妙

まず、豆漿の方を一口飲んでみたけれども、見た目から想像されるとおりのお味(というか無味)で、ワタシ的には大失敗。あらかじめそういうものだと分かっていて頼んだなら大丈夫だったのだろうけど、豆漿が豆乳という予備知識もなく、台湾マニアでもないくせに、初台湾でいきなり地元民のいく朝飯屋に行ってしまったのが間違いざました。熱々すぎて食べにくい油條は3口ぐらい齧ってから、ビニールに包まれているのを幸い、持ち帰りにすることに決め、豆漿の方だけなんとか半分ぐらいは飲まないと…と思ったのだけど、全く味というものがない上に、なまじ油ぎった油條が浮かんでいるために、殊更に微妙な味わいになっていて、到底半分も飲めず、ようよう3分の1飲んだところでギブアップ。たっぷり残して対不起(ごめんなさい)。ワタシはお茶かさっぱりしたスープが欲しくて、何か飲むもの、と言ったのだけど、実際のところそんなものはメニューになかったのかもしれません。もしくはただ、お茶が欲しければお茶ちょーだい、と言えばよかったのかもだけど…。

それにしても、台湾朝飯、恐るべし。素人の容喙を許さぬディープな世界でざましたわ。はい。
ワタシの認識不足による敗北って感じですかしら(笑)

まぁ朝ごはんはちょっと躓いたけど、途中で小腹が空いたらB級グルメ「小吃」でも試してみればよいし、テイクアウトしてきた油條もあるしね。その日は九份バスツアーを夕方4時半から入れてあるので、それまでのんびりと台北散歩を楽しもう、というわけで、レトロな建物がたくさんあるという迪化街を散策してみることに。

まずはMRT(新交通システム)の最寄駅まで行き、お姉さんのいる窓口でTAIPEI PASSを買うことに。これはPASMOみたいなもので、MRT各線と路線バスが乗り放題に乗れるというカード。1日券から5日券まであり、ワタシは2日券を購入。バスは、旅行者には路線や停留所名が分かりにくいし、ちっとハードルが高いので、台北での移動はもっぱらMRTを使いました。東京の地下鉄に比べたら乗り換えも各線の交差もずっとシンプルだし、目抜きのエリアに宿をとっていれば、どこに行くにも大抵は1駅か2駅行って、そこで別の線に乗り換えてもまた1〜2駅程度で着く、という感じ。コンパクトで移動が楽な街だな、という印象でした。
MRTの窓口のおねえさんは、ワタシの前にマレーシアあたり?(分かりません。なんとなくそうかな、と)からの観光客らしい女性二人連れが話の分かりが悪いのか、ああでもないこうでもないと粘っているので扱いに苦慮して(というか、ゲンナリして)いた様子だったのだけど、その二人がようよう去って、ワタシの番になり、ひとまず英語で「TAIPEI PASSの2日券ください」と言うと日本人だと分かったらしく、さぁっと満面の笑顔になり、非常に感じのいい応対をしてくれました。日本人に親切だというのは本当なのだね、とこの時に実感しましたわ。


TAIPEI PASSを買うと、掲載されている店で使えるクーポン券付きのガイド(英文)をくれる

ワタシはレトロな建物は大好きだけど、世界遺産とか、観光客が必ず行くようなベタな建物とかには興味がないタチなので、中正記念堂とか孔子廟とか故宮博物院はパス。故宮博物院はけっこうよく日本で展覧会が開かれたりするし、どんな文物があるかというのも何となく分かっているからいいやって感じですね。ただ、この手の定番的観光スポットの中では、日本統治時代に日本が建てた旧台湾総督府(現総統府)のレトロ建築だけは見物に行こうと思っていたのだけど、結局のところ、わりに近いところを歩いていても、わざわざそっち方面に行くのが面倒になり、別にいいか、という感じでなんとなく総統府もパス(笑)でも、これは見に行っておけばよかったとちっと後悔。次回に行くといたしませうかね。



さて。迪化街は日本統治時代に商業地として栄えた街で、19世紀末に建てられたバロック様式の建物が連なり、漢方薬の薬材や、茶葉、乾物などの店が続いているところだそうで、なるほど、お茶屋さんや乾物屋さんが多かったですね。台湾に来たらお茶を買わねばだけど、どこで買ったものかねぇ、ガイドのご託宣に従って奇古堂ってところに行こうかねぇ、などと思っていたのだけど、迪化街で買うのもありか、と思い直したワタクシ。でも、こう目白押しにお茶屋さんがあると、どこに入って買ったものか、却って迷ってしまって決めきれないもんですわね。過ぎたるは及ばざるがごとし。乾物屋さんも多いので、「からすみ安いよ〜」と観光客の姿を見かけると声をかけていたおばちゃんが居ましたわ。「安いよって言われてもねぇ」と声をかけられたおばさま二人組が困惑気味だったのは、ちょっと可笑しかったざます。










どことなくハノイを思い起こさせる街並みでもあった

迪化街は本当に古い建物をそのまま残してある商店街が長く続いていて、19世紀の台湾の雰囲気がなんとなく伝わってくるような佇まいがナイスでした。建物の意匠も一軒一軒面白く、ちょっとハノイの、フランス統治時代に建てられた古い建物の並ぶ旧市街の街並みを思い出しました。レトロな街並みが大好きなワタシには、歩いているだけでも楽しいところでしたわ。



台湾というのは、文化的には中華文化圏だろうけれど、気候風土的には東南アジアっぽいので、街の雰囲気や空気感が、香港や上海よりも東南アジア寄りの感じですね。車も多いけれども、50ccのバイクで走っている人も多いのが、いかにも東南アジアチック。舗道に原付を停めるスペースが確保されていたり、縁石に前輪を乗り上げて停められたバイクがずらーっと並んでいたりするのは台湾も東南アジアの国も同じでした。


MRT北門駅にほど近い新光三越の玄関脇には、ライオンならぬ唐獅子が鎮座ましましている


中央にかすんで見えるのは台北のランドマーク 台北101 このビルが建っている新都心地区には行かなかった

結局、お茶は買わずにぷらぷらと街並みを見物しながら散策してMRTの北門駅に戻り、一駅乗って雑貨屋やカフェなどがあるという西門へ行き、ちょこっと散策。西門はもろに繁華街という感じのエリアで賑わっておりました。小腹が空いたのでここいらで軽くランチを食べようかね、というわけで目に付いた店に入り、メニューをもらったのだけど、麺か飯ものか、お菜系かは分類されているのでわかっても、個々の料理のイメージが、漢字の並んだメニューを見てもさっぱり掴めないんですわね。よく日本人は漢字が読めるから、中華系のメニューを見てなんとなく料理の雰囲気がわかる、なんて言うけれども、ワタシに関してはそれは全く作用せず、あれかこれかと迷いつつ、普通の麺だろうと思って選んだら、ぶっとい刀削麺で「あだー!」という感じになり(ワタシは細麺が好みなんざます)、何か豚肉系の一品だろうと思って頼んだら、豚肉のアンが入った小籠包だったりして、もう勘が外れまくりでざました。何か常に麺と小籠包を食べていたような気のする台北の日々…。

一度ホテルに戻って一休みしてのち、時間になったので、ホテル近くの指定場所へ。そこに九份ツアーのバスが来てピックアップしてくれるわけなんざます。ここはやはり夜にかけていくのがよかろうというわけで、夕方〜夜の時間帯のバスツアーを選びました。九份は台北市内から車で30分程度の距離で、手軽に行かれる観光地。赤い提灯のぶら下がった茶店が、「千と千尋」チックだというので日本でも人気の観光スポットですわね。映画「悲情城市」のロケ地でもあるとかですが、ワタシは「悲情城市」は未見なので特に思い入れもなく。でも、商店街もあるというし、夜市に行くならこっちにした方が面白そうだと思って選んだ九份だったのでした。

バスに乗ること30分で到着したのだけど、着いたあたりでちょうど雨も降り出してしまい、傘をさしての散策に。日本よりはかなりあったかいという認識で行った台湾だけど、この日は夜になると肌寒く、雨が降って冷たい風も折々吹いてきたりして、総体にイメージよりも涼しめでした。この時期がベストシーズンというのは確かにそうだろうな、と納得。まぁでも、時折ちょっと寒かったけれども。



さて。九份はもとは金山だったところなのだけど、金が出尽くして寂れ果て、忘れ去られたことで却って昔の街並みがそっくりそのまま残り、それを面白がった若いアーティスト達が移住して作品を作るようになり、それに目をつけた観光客が行くようになり、行楽地になったというところらしいざます。九份の目抜き通りである賢崎路という石段の道の両脇にある赤い提灯の茶芸館は、その昔は鉱夫相手の遊郭だったとか。なるほどそんな気配。その遊郭的な雰囲気は「千と千尋」のお湯屋にも漂っていたような気がしますわね。



しかしまぁ、立ち止まってゆっくり見物している余裕はない階段の混雑と雨。上から降りてくる人、これから上る人で狭い石段はごった返してえらい騒ぎでした。どうにか足を踏み出して階段を上りつつ、ワタシは狭い石段の両脇に並ぶ飲食店や土産物屋の佇まいに江ノ島の参道を思い出していました。九份の賢崎路という階段の道は、あれと凄く似た雰囲気なんですわ。

ちょっと人混みがはけるまで茶芸館でお茶でも飲もうかねぇ、ということで一軒の店に入り、ついでに軽めの夕食もそこでしたためることに。


茶芸館のテラスから向かいの茶芸館を眺める

椅子に座って一息ついて眺めると、雨模様の中で向かいの店の窓から漏れる黄色い明かりや、軒先きに吊られた赤い提灯の風情もなかなかよろしくてでした。

店を出てちょっと階段を上ったあたりで道が分岐するポイントに出くわしました。左手に折れると、基山街という商店街がけっこう長く続いてる細い通りです。ここはお土産物屋が軒を連ねて石畳の道の両側に建っている通りなんざます。この辺もなんだか江ノ島の裏側の方を思い出させる雰囲気。



しかしまぁ、こんなところで特に欲しいものはみつからぬだろうねぇ、となどと思いつつ店先を眺めながら進んでいくと、一軒のお茶屋さんの前でなぜかふっと足が止まりました。凍頂烏龍茶の文字が目に入ったからなのかどうか、自分でもよく分かりません。でも、昼間、迪化街であんなにたくさんのお茶屋さんがありながら全部素通りしてきたワタクシなのに、なぜか今、ふと足が止まったのも何かの縁だろうかなぁ、と思いつつ店のおばさんが薦めてくれた試飲のお茶を一口飲んでみると…ほほぉ、これは美味しい。悪くない。ここでお茶を買っていこう、という気分になりました。店のおばさんが「日本の人は凍頂烏龍茶が好きだけど、美味しいのは阿里山高山茶のほうよ。高山茶オススメよ」とのたまうので、ご託宣に従って阿里山高山茶を2パック、凍頂烏龍茶を1パック買いました。どこでお茶買おうかと思っていて、九份で買っちゃったワタクシ。考えてもいなかった場所だけど、案外、悪くない買い物だった気がします。

それからも暫く基山街を歩いてみて、もうさしたるものもないので引き返すことに。来た道を引き返し、かなり下の方まで降りてきたところでシルク素材の小物を売っている店に目が止まり、入ってみると、バッグや財布やポーチ、メガネケース、ペンケース、ブックカバーなど、シルクでできた趣味のいい小物があれこれとあったんですわね。おお!やっと欲しい感じのものがあったぞよ、というわけで、あれこれ買いました。ブックカバーはゆるくコレクションしているので、また戦利品が加わったという感じ。ブックカバーは集めてもいるけど、ちゃんと使ってもいるワタクシ。なれども、今回のシルクのカバーはとても綺麗なので、ちょっと使いたくない感じ。これは収集品としてビニール袋に入れたままになってしまうかも、ですわ(笑)



とにかく、今回何か買うとすれば、中国茶に雑貨小物に、ちょこっと台湾コスメぐらいかなぁ、という感じだったので、九份で思いがけず、お茶と小物雑貨はゲットしちゃったわけざます。ふほふほ。満足。

そうこうするうちに集合時間になったので、バスに揺られて30分。また台北の街中に戻りました。帰る頃には雨も止み…というよくあるパターンなれども、雨の九份もなかなかグッドざました。台湾へ出発する2日前ぐらいに思いつきで申し込んだ九份ツアーなれども、正解だったようざます。
雨ににじんだノスタルジックな風景は、なんだか淡い夢の中の景色のようざました。











ホテル近くでバスを降り、風呂上がりに飲むためのビールを買って部屋に戻り、また熱めのたっぷりとしたお湯を張ってバスタイム。何しろ今日は少し雨に濡れたから、よくよくあったまりませんとね。
軽いおつまみでビールを飲みつつ、スマホであれこれと情報をチェックし、パリのマスターズ(テニス)の昨日の試合結果などを見ていて、そういえば、BS1が入るなら錦織の試合が見られるんでは?とふと思いついて調べてみると、確かにBS1で錦織の試合だけ中継する模様。そしてパリと東京の時差は8時間でも、パリと台北との時差は6時間なんざます。ということは日本時間より2時間早く試合が見られるということざますわね。日本では錦織の試合開始が午前3時半ぐらいでも、台北時間では午前1時半から試合開始となるわけです。

わ〜い。これは見なくっちゃ!というわけで、試合時間までHBOでさして面白くもない映画を見ながら寝そべっていたのだけど、いつしかすっかり眠ってしまい、はっと目がさめたら、もう試合は終盤にさしかかり、錦織がツォンガと1対1のセットカウントで、あともう少しで勝てるかも、というあたりでした。
うっひょ〜。辛くも目覚めたよ。ウッカリして間に合わないところだったけど、良かった、このぶんなら勝つわね、と思っていたら、なんと錦織は2つもあったマッチポイントを失い、トンガ…もといツォンガに巻き返されて負けてしまったのでした。あだ〜。あなたったら、異国に来てまで夜中に応援しているのに負けたわね!とツメの甘いコリコリにちょっと怒りつつも、この日はとてもよく歩いたので、程よい疲れから迫り来る眠気に勝てず、また、あっという間に眠ってしまったワタクシなのでした。宿泊したホテルのベッドがとても心地よくって、毎日、非常に気持ちよく眠れたざますのよね。まぁ、ワタシはどこでも、旅先でも自分の部屋でも、とても寝つきがいいのだけど(笑)

翌日はこの足の疲れを心地よく取り除いてもらえるであろうSPAの予約を取ってあるんざます。
楽しみたのしみ。

というわけで、続きは次回。

コメント

  • 2016/11/12 (Sat) 09:43

    わはは、kikiさんてば旅先でもTennisですか。
    台湾地元民ブレックファーストのカルチャーショックといい、かなりkikiさんの旅スタイルには共感が持てます。(^-^)
    というのは、わたくしも旅行は基本行き当たりばったりなもので、あえて無計画にフラッと入るお店やスポットを楽しめるタチ。もちろん、失敗多し。
    しかし、宮崎ワールド似の九份あたりを抑えるところは同じ。初めてならば、「どげなもんやろ?」と、お土産話のひとつやふたつ作っておかないとね。
    「江ノ島の裏道みたいなお土産屋さん街」って例えがとても分かる気が致しましたよん。
    3日目以降のリポートも愉しみにしております。

    • Sanctuary #V0sVL5lk
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    • 編集
  • 2016/11/13 (Sun) 09:11

    Sanctuaryさん
    ついつい、錦織の試合結果も気になっちゃってね。
    BS1が入るなら見られるな、と分かると見ちゃいますわね(笑)

    ワタシは海外旅行では泊まったホテルで朝食を食べるというのがあまり好きではなく、どちらかといえば朝食はナシにしておいて、街に出て食べたい方なんですわ。
    気分で歩いて店に見当をつけて入ってみる、というのは面白いですよね。外すとあいた〜!って感じではありますが(笑)
    夜市はどんなもんだか想像がつくから、あまり行ってみようという気分じゃなかったんですが、九份はあの景観がやっぱり独特ですからね。一度は見ておいて損はないだろうと。そこでしっかりお茶も買ったし、行って正解でしたわ。

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