上々台湾(シャンシャンタイワン)第三夜

−秋の台北ぶらり旅 その3 お茶とアロマオイルの癒し−



台北といえば様々なタイプの店が星の数ほどあるマッサージでも有名ですが、今回は台湾式の足裏マッサージとかの、痛い、苦しい、でも効き目あるかも!という方面ではなく、リッチにゆったりと、柔らかく気持ちよくほぐしてもらう、という方向で店を選びました。あらかじめ日本から予約を入れておいたのは、有名なリージェントホテル最上階のSPA「沐蘭(ムーラン)」。いくつか候補日を挙げておいた中で、予約が取れたのは3日目の午前中でした。



さて、3日目。
小雨が降っていたその日の午前中、ワタクシは中山エリアの老舗、リージェントホテルへと歩いて向かったのでした。ワタシの宿泊先から徒歩8分程度の距離。近い事もあってこのサロンを選んだのもあります。20階でエレベータを降り、「沐蘭」の受付へ。

高級SPAで日本語対応もバッチリという「沐蘭」。しかし、高級SPAじゃなくてもけっこうお店やホテルでは日本語対応してくれるところが多かったのはさすがに台湾という感じでした。
「沐蘭」でも日本人の客が多いらしく、受付も施術の人もそこそこ日本語が話せる人でした。ウッディな内装の個室で施術をうけられるというのは知っていたのだけれど、部屋に案内されると、確かに落ち着いた内装の、感じのいい部屋でした。





シックかつクラス感のある、このリージェント・ホテルのSPAの個室でも、トイレでは紙を水に流せないのかしらん。と、ふと思ったワタクシ。まぁ、高級ホテルなどでは流しても大丈夫なペーパーを置いてあるだろうので大丈夫でしょうが、基本、台湾のトイレでは使用済みのペーパーは流さず、脇の物入れに入れるというスタイルのようざます。こういうのは中華圏に多いざますね。その上、扉を閉めない、鍵をかけないなど、はぁ?という慣習が生きている上海(中国)のトイレ事情ほど面妖ではなかったけれども、台湾でもいまだに大抵のところでは紙を流せないトイレである、というのは面白いなぁと思いましたわ。下水管が細いとか、ごく一般的なトイレ紙は水溶性ではないとか、いろいろ原因はあるようざます。それと、台北で驚いたのは、駅などの公衆トイレでは、和式の水洗トイレがあったりした事ですわね。あれは日本統治時代の名残がそのまま慣習として残ったものなんざましょうか。あれ?ここは台湾なのになぜに和式トイレ?と首を傾げたりして。まこと台湾は不思議空間ざます。

脱線はこのぐらいにして、また「沐蘭」に話を戻すと、最初にカルテ(日本語)に必要事項を記入し、特に重点的に揉んでほしい箇所に丸をつけます。ワタシは首、肩、背中、腰、ふくらはぎとほぼ全箇所揉んでほしい感じでしたが、全部というのもどうかと思って首だけ遠慮しておきました(無意味?)。

今回申し込んだのは、代表的なコースらしい「旅人のやすらぎ」というオイルマッサージのコースで、アロマオイルやマッサージ法などはバリ島から取り入れたものだとか。4種類のオイルから1つチョイスするのだけど、それぞれにどういう効能があるのか尋ねても、ベテランらしきエステティシャンの方は、一応、決められたセリフを日本語で言うことはできるのだけど、こみ入った内容についてやりとりする日本語力はなかったらしく、にこにこして、ただ選んでください、というだけでしたのね。それじゃまぁ、効能についてどうこう言ってもしょうがないか、というわけでその日の気分で選んだ香りはラベンダー系でした。ラベンダーオイルなら効能的にもハズレはないし、オッケーな(無難な?)チョイスざました。



まずは、一通り個室の説明をしてから一度エステティシャンは退室するので、その間にミストのシャワーを浴びて、ガウンを着て待つこと暫し。再び静かにエステティシャンが入ってきて、レモンの香りのするインドネシアチックなお茶を淹れてくれますのよ。ワタシがお茶を啜りつつ寛いでいる間に、エステティシャンは施術の準備をしますのね。まずはバラの花びらを浮かべた足湯に足を浸し、軽く足先をマッサージしていただきます。その後、ガウンを脱いで施術用のベッドにうつ伏せに横たわり、約1時間オイルマッサージをしてもらうんですが、いや〜、これは本当に気持ちよかったざます。あらかじめ、マッサージの強さを弱めか普通か選ぶのだけど、ワタシは普通でお願いしましたがソフトタッチでしたね。それで効くのかと思うほどに柔らかいのだけど、そこよ、というところにはきゅっと入ってくる感じで、重点的に揉んでほしい、と丸をつけたところは特に丁寧に柔らかくもしっかりとマッサージしてくれました。だから、肩も腰もふくらはぎも、過不足なく手厚くやっていただいた、という印象ざます。

ワタシは旅に出ると大抵この手の高級SPAに行きますが、実のところ、あまり満足した事がないんですわね。翌日揉み返しが来たり、さっぱり効能がなかったり、もっとひどいのになると、クールダウンか何か知らないけれども最後に10分ぐらいクーラーの効いた部屋で放置されて体が冷えきり、風邪をひいてしまったこともあったりなかったりで、旅に出ると(日本でもたまに思いつきで予約を入れたりして)高級SPAには行くものの、毎回けっこうな博打でもあるのですが、今回は大当たりでした。約1時間しっかりとマッサージしてもらい(マッサージの前後にシャワーを浴びたり風呂に入ったりとあるので、全体では1時間45分のコース)、その後、お風呂に入りつつスイーツとお茶をいただいて、ほこほこ気分でSPAを出る時には、確実に体が軽くなり、足もふくらはぎの張りがとれて楽になっていたのを実感しましたわ。
いや〜、満足。


お風呂に浸かりながらスイーツとお茶を賞味。徐々にお湯がぬるくなってきたので風邪をひかないように早めにあがった

SPAのあと、一度ホテルに戻って一休みし、歩きやすい靴に履き替えたあと、ランチをしたためてからSPAと並ぶ台北旅行の目当てである茶藝館へ向かうことにしました。いろいろなお店があるけれども、そのレトロチックな佇まいがワタシが夢想していた通りの様子であることから、老舗の紫藤盧という茶藝館に行ってみようと決めていました。
ここはMRTに乗り、古亭という駅で降りて15分〜20分ぐらい歩いたところにあります。表通りには面しているのだけど、うっかりすると行きすぎてしまうようなひっそりとした佇まいのため、何もなければ行きにくいところかもしれないけれども、Google Mapがあれば方向音痴のワタクシでも大丈夫。今回、何度かMapのお世話になった中で、一番Google Mapに役立ってもらった行き先ざました。







ここは日本統治時代に日本の高官が住んでいた館を茶藝館にしたものだとか。庭に藤棚があり、小さな池に鯉が泳ぎ回っている様子が、いかにも戦前には日本高官の住まいだったらしい雰囲気を醸し出しております。敗戦後、日本が引き上げたあとは現当主のお父上である台湾の大学教授が住み、そのおりに文化サロンとして地域に根付いたこの建物は、1997年に一度政府に没収されますが、保護保存運動に立ち上がった市民たちの活動により古跡として指定され、茶藝館として存続するほか、地域の文化サロンとしての役割も担っているとか。
日本統治時代の建物を補修しながら大事に使い、きちんと残して、いい形で今に引き継がれているという様子も見てみたくて訪ねた紫藤盧。





ガイドには駅から10分と書いてあったけれども、大体15分から20分弱はかかる道のりでしたが、散歩がてら歩くには頃合いの距離でした。平日の午後だったので、観光客よりも地元の人がゆったりと寛いでお茶を楽しんでいる空間でけっこうざました。予約はしていなかったのだけど、運良く席が空いていたのでサクッと入れたワタクシ。メニューを見せてもらうと日本人向けに日本語で書かれたメニューを出してくれました。捲っていくと、なんと「武夷岩茶 」の「大紅袍」があるじゃないですか。え!?本当なの?ここで「大紅袍」が飲めるんざますか!と色めきたったワタクシ。お値段も380元で、「大紅袍」がその程度の値段で飲めるとは!!とパクパク。早速お店の方に、これをお願いします、とオーダーを入れました。ああ、憧れの「大紅袍」は一体どんなお味やら…とワクワクしていると、しばらくしてお店の方が来て、「すみませんが、大紅袍は売り切れてしまいました」と英語でのたまいました。おお、なんてガックリな…。まぁ、そう簡単に「大紅袍」が味わえるとは思っていなかったけれども…。



ご興味ない方のために一応書いておきますと、「大紅袍」というのは、中国は福建省にある武夷山市で生産されている烏龍茶の中でも最高級の茶葉のことざます。政府の管理するところの、武夷山に自生している4本の茶樹から採った茶葉で作られた第1世代のものが最も貴重な茶葉で、かつては皇帝しか飲むことができなかった逸品でざます。この第1世代の貴重な「大紅袍」は今でも一般の人々が飲む事はほぼ不可能。世間に出回っている「大紅袍」は、大元の第1世代の茶樹に接木された第2、第3世代の茶樹から採取されたもので、これらは昨今、割合にお求めやすい値段で入手できるので、そう有り難がる必要もないのだけれども、それでもワタシなどにすれば、「大紅袍」をこういう素敵な茶藝館で味わうという事に意義があるわけで、ここは品切れじゃなく、残っていてほしかったところではありますわ。が、致し方ありません。代わりにお店がレコメンドしている、蘭の香りがするという新茶をオーダーしました。

お店の人が、最初は淹れましょうか、と言ってくれたので、お願いします、とまずは目の前で淹れてもらいました。



ガラスの薬缶で沸かされたお湯で茶器を温め、急須に茶葉を入れ、聞香杯と呼ばれる器に急須からお茶を移し、そこから茶碗にゆっくりとお茶を注ぐ、その一連の動作が優雅で、日本統治時代に建ったレトロな家屋を利用した茶藝館で、お茶の香り漂うゆったりとした午後を心ゆくまで味わおう、という気分が盛り上がってきました。ワタシにとって、台湾の魅惑は茶藝館に集約されているといっても過言ではないので、じっくりと味わうために最終日に持ってきたわけざます。



本当は茶藝館のはしご、というのが最初の旅のテーマだったのだけど、目的の茶藝館をこの紫藤盧に絞ってからは、あちこち行かずにここだけでマッタリした方がいい、という気分になりました。それで正解だったと思います。大きな窓の外には緑があふれ、年季の入った藤棚がありました。藤の季節にはさぞかし美しかろうと思いますが、藤の咲く頃の台湾はもう、ちっと暑いかもしれませんわね。庭の緑はある程度自然に任せた感じで、あまり手を入れていなさそうなのがいい感じでした。門のすぐ近くに小さな池があり、その人口の池の中で錦鯉が泳いでいました。庭に鯉が泳いでいる、というのが、いかにも戦前は日本の高官が住んでいた屋敷らしいな、と思いましたわ。






藤棚 季節にはさぞかし…


庭側から店内を臨む

というわけで、台湾に求めていたものは、それなりにきっちりと味わって帰ってきたワタクシでしたのよ。
この他、ドラッグストアでフェイスマスクを中心に台湾コスメもゲットしてきました。フェイスマスク各種、なかなかざます。

*****
台北では噂に聞いた通り、街中でも日本語が溢れていたし、メニューなども日本人がよく行くらしい店では日本語のメニューが用意されていたりして、母国語で海外でも押し通せるというのは確かに便利なものだわな、と実感しましたわ。
別にさほど日本語対応を望んでいたわけでもないのだけど、こみ入った事を頼みたい時(どんな時?)に、ホテルのフロントが日本語の達者な人だと確かに便利ですわね。
英語圏の人間は、こういう便利さを常に享受してるのかと思うと些かムカっ腹。だから、英語圏の人間はなかなか英語以外の言語をしゃべれるようにならないんだろうけれど(笑)

ただ、そんなにも日本語が溢れ、日本語を話せるサービス業の人が多いにもかかわらず、台湾は紛れもなく異国であり、異国であるという認識は常にクリアにあるのに、場所によって日本語が通じても違和感がない、という不思議な感覚を味わいました。
そして、台湾の人はおおらかで控えめで、こすっからいところがないな、というのも、ざっくりと感じました。勿論、いろんな人がいるだろうけれども、おおよその印象としては、おおらかで気のいい人が多いのかな、と。だから日本人と相性がいいのだろうな、と。

台湾の日本びいきには、ただ漠然と好き、とかいうような単純なことではなく(若い世代はそれとは別にサブカル的な部分で日本好きな人が多いらしいけれど)、第二次世界大戦後、日本が撤退したのちに、中国本土で起こった国民党と共産党の内戦に敗れて台湾に敗走してきた蒋介石が、制圧のために国民党軍を使って台湾人を虐殺しまくったというおぞましい暴力による統治の反動という事が大きいのだ、と言われてますが、そういう反動が起きるほどに、日本は台湾で、台湾のため(ひいては日本の為ってことなわけですが)に、実にいろいろな事をきちんと整備したんですわね。インフラの整備と衛生の向上、教育を義務化したことによる識字率の向上など、日本統治時代に築かれたものがいまだにきちんと機能している、というものが台湾ではとても多いらしいんですね。日本統治時代に作られたダムも、いまでも重要な役割を果たしているとかで、台湾の人の日本贔屓にもそれなりに理由はあるんですわね。尤も、同様かそれ以上に面倒をみたにも関わらず、今だに根深く恨んでいる半島K国みたいな国もあるので、なんとも言えないところだけれど…。

余談ながら、ワタシが個人的になんだか受けてしまったのは、ハリウッド映画のポスターでした。


「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」は端的に「怪獣」となっており、下にサブタイトルが入っている


トム・ハンクスの「インフェルノ」はそのままヅバリ「地獄」 この爽快なまでのストレートさ

日本はカナというものがあるために、すべてを漢字で表現することはないわけですが、何もかもを漢字だけで表すというのは時折かなり面白い事になるのだね、と密かに受けてしまったワタクシ。実際その通りではあるのだけど、「怪獣」と「地獄」の身も蓋もないストレート感にはおもわず頬が緩んでしまいましたわいな。

*****
あまりに近いので九州の先みたいな感じではあるし、治安も良くて、日本語も部分的に通じて、国内旅行に近いような感覚で行かれるところではあるけれど、そこは紛れもない異国である台湾。
中華文化圏ではあるものの、気候的に熱帯(および亜熱帯)なので、雰囲気的に東南アジアのムードが漂っている面白い国。週末にちょこっと行くのにも向いているし、気に入った人はリピーターになって、年に何度も行ったりするんでしょうね。
ワタシはそんなに何度も行かなくてもいいけれども、あまり遠くに行く時間がない時、そして国内旅行ではなく、どこか日本の外に旅に出たいという気分の時に、台湾は悪くない選択肢のひとつだと改めて認識しました。

次にもし行くことがあったら、このつぎは、「紫藤廬」以外の茶藝館をノンビリと巡ってみようかしらん、と思ったワタクシ。
そして次こそは「大紅袍」をマッタリと味わいたいものだと思っているkikiでございます。


コメント

  • 2016/11/20 (Sun) 08:19

    ラグジュアリーでリラクサブルなひと時ですね。これも台湾の魅力のひとつですね。
    「和式トイレ」ってのは西洋式に対して言っているだけで、もともとアジア圏内は我が国のそれと似て総じて便器をまたいで(前かがみで)用を足すスタイルなのでは?
    便器の形は様々あれど、だいたい和式スタイルだったんじゃないかなあ。
    まあ、昔のインド(だったかな?)みたいに便器の下に豚がいて、人間様の落し物を下で食べる(うっぷ失礼)、時に豚が便器から顔を出し、尻の穴を舐めてくれるようなスタイルでも一応便器またいでの前かがみスタイルなので。
    大変汚い話を失礼致しました。

    最後の映画タイトルのカルチャーギャップには笑いました。
    邦題をやたら変なタイトルにしたがる配給会社はいるけど(Adam→恋する宇宙、It's complicated→恋するベーカリー、We bought a zoo!動物園買ったよ!→幸せのキセキ…などなど中身を想像させない系と想像させる系に分かれるが)、漢字だけの国ってのはそういう想像さえも通り越して、ダイレクトかつストレートに伝え過ぎるように思います。
    いやあ、面白い。(^O^)/怪獣 くぷぷ

    • Sanctuary #V0sVL5lk
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    • 編集
  • 2016/11/20 (Sun) 12:53

    Sanctuaryさん
    リージェント台北のSPAは確かに良かったですよ。もし台北に行かれる事があったらおすすめです。

    で、和式トイレですが、そういうツッコミがあるだろうと思ってましたわ(笑)でもね、中華圏の跨ぐ式のトイレには金隠しがないのでは?どっちが前か後ろか分からない感じでフラットですよね。台湾のはありましたよ。扉の外から見ただけで確認してみなかったのでさだかな事は言えませんが、それこそ、紛れもなく日本式の、TOTO かINAX謹製の便器じゃなかろうかと推察。どうせ跨ぐ式なら日本製の便器の方がいい、という事だったんじゃないかしらんと思うのだけど、ま、確証はありませぬ。

    映画タイトル、面白かったですわ。ホテルでHBOを見ていた時にも、漢字でどんなタイトルが付いているのか興味深く見ていたんだけど、ユマ・サーマン主演の、盲目の女性が事件の証人になるスリラー「ジェニファー8」は「盲女○○○」というタイトルで、ハハハと笑いました。(○○○の部分は字を失念)今回の「地獄」や「怪獣」なども、原題は”INFERNO”に”FANTASTIC BEASTS AND WHERE TO FIND THEM”だから、殊に前者なんかは英語圏の人間がそのタイトルを見て感じるストレートさ加減を、漢字で感じ取れるのかな、と思ったりしますわね。変にコチャコチャひねくる日本式の邦題よりも潔いという印象はあります。でも、あまりにズバリすぎて笑っちゃうのだけど。ちなみにトム・ハンクスの台湾における漢字表記は湯姆漢克でした。音を、近い発音をする漢字に当てはめているものらしいので、他の中国語圏ではまた少し違う表記にもなるらしいけど、まぁ、面白いですね。

    今回の台北旅行では、日本の外で日本に出くわす、という感覚と、漢字が読めても油断はできない、という事を実感したざますわ。殊に料理のメニューは、ほんと、漢字が読めても何が出てくるやら、よく分からなかったざます。漢字と言語感覚には些かの自信を持っていたのだけど、サッパリ通用しませんでしたわ(笑)

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