フエ 天空の寺と古城の裏庭

−三度目のベトナム その2−



さて。二日目は早起きしてフエへの終日観光へ。
フエはベトナム最後の王朝グエン朝の都だったところで、日本における京都のような古都ざます。
まずは早朝にタクシーを呼んでもらってオプションツアーのピックアップ場所まで行く事に。
前夜、ホテルに頼んで朝食代わりとなる軽食を頼んでおいたので、その紙袋をロビーで受け取り、時間通りに来たタクシーに乗って、10分程で集合場所に到着。そこは大きな老舗ホテルのロビーだったので、まずは迎えが来る前に、ゆっくりとソファに座って用意してもらった朝食(簡単なサンドイッチと果物)をしたためました。

やがて時間通りにフエ観光ツアーのワンボックスカーが来ました。このツアーはホイアンとダナンで客をピックアップしてフエに向かうので、こののちダナンからの参加者をピックアップしてフエに行く、ということになるわけざます。
そんなわけで、ホイアンからダナンに行き、ダナンからの参加客が乗り込むと、車は海岸沿いの道をフエに向かって走りだしました。昨夜、空港に着いた時には小雨模様だった天候ですが、この日は快晴で気持ちのいいドライブ日和になりました。外はかなり暑いのだけど、車内はクーラーが効いているし、しかも、このワンボックスカー内でも無料のwi-fiが使えるようになっていて、本当に公衆wi-fiは日本よりずっと発達してるなぁ、と感心しました。



今回、ダナンは、このフエに行くツアーの行き帰りに通過しただけ、という感じだったのですが、売り出し中のビーチリゾートということで、長い海岸線が美しく、上天気だったので空と南シナ海の青さが眩しく光っていました。高級ホテルが海沿いに大きな敷地を取り、プライベートビーチを確保して点在しているという感じだけれど、まだ建物がびっしり並んでいるという感じではなく、建築中のリゾートホテルも幾つかあって、今後もっと栄えるんだろうねぇ、という感じではあるものの、まだまだ風通しがいい感じでした。あまりツーリスティックになってほしくないなぁ、と思ったのだけど、ダナンはあまりガチャガチャせずに、ゆったりと栄えていくんじゃないかしらん、と希望的観測もこめて推察。ダナンのシンボルともいえるドラゴン橋もちらっと見ましたが、日中のドラゴン橋はただの黄色い鉄の橋という感じ。残念ながら夜、ダナンにはいかなかったので火を吹くところは見物しませんでした。


車は海岸線に別れを告げて内陸へ

その後、車は海岸線を離れて少し内陸へ。ダナンから2時間ばかり走ってフエに到着。最初の観光地は、ベトナム最後の王朝、グエン朝のカイディン帝という皇帝の廟(お墓)。カイディン帝は、ベトナム最後の皇帝バオダイ帝の父で(つまり最後から二番目の皇帝)、廟もなかなか立派でした。1920年代に完成したそうですが、もっと古そうに見えました。



この廟を建てるために増税したとかで、フランスが擁立した傀儡皇帝として国民からの評価は低いらしいカイディン帝ざますが、当時の国民を泣かせても、ゴージャスなものを建てておくと後の世に観光資源として役に立つわけなので、長い目で見れば国のためにはなっている、と言えるのかどうなのか…。


国民を泣かせて作った壮麗な墓所

廟内にはカイディン帝の写真も飾られてましたが、ほっそりとしたなよやかな姿で、これはなんとなく…と思っていたら、やはりゲイだったのだとか。男が大好きで女が嫌いだったので、後継ぎをもうけるために形式的に何人もの側室がいたのだけど、子供はやっと一人バオダイ帝をもうけただけで精一杯ということだった模様。面白いざます。


病弱でゲイで早死に(40歳で死亡)したカイディン帝 なるほど、さもありなん

中国のラストエンペラー、溥儀もゲイで女性には全く興味がなかったらしいし、ババリアの狂王ことルードヴィッヒも女性には全く興味がない男色の王様だったわけですが、王朝というのは、始祖はバリバリと王朝を打ち立てて、何人もの女性にたくさん子供を産ませて、というタイプが多いんじゃないかと思うけれど、その王朝が終焉に近づくと王様や皇帝もゲイ率が高くなったりして、女に興味がなく、なかなか後継者をもうけられない=何代か続くと王朝が衰退に向かう、という事態になってくるのかしらん、とちょっと興味深かったざます。ふほほ。

このカイディン帝廟は、皇帝の生前から準備が進められたとか。白を基調とした瀟洒な作りはいかにも繊細なカイディン帝のお好みを反映させたものなんだろうねぇと思った次第。

廟の内壁には、陶器やガラスびんの破片で作られた装飾があり、中には日本をイメージさせるモチーフの装飾の一部に、当時の日本のビール瓶の破片を使っているものがあるなど、日本人にとってもなかなか興味深い装飾でざました。


ユニークな素材を使ったゴージャスな装飾

この梅の樹(多分)の茶色の幹の部分に使われているのは当時の日本のビール瓶だとか

廟の前庭には、始皇帝の兵馬俑を、人数も大きさも猛烈にスケールダウンさせた感じの「なんちゃって兵馬俑」のようなものがあり、やはり中国文化の影響は大きいのだね、と改めて感じた次第。


ミニチュア的兵馬俑見参! なんとなく素朴でかわいらしい


廟の見学が終わると、今度はフエを流れるフォン川をドラゴンボートに乗って、天母寺へ。ドラゴンボートのような船はなんでもそうだと思うのだけど、川の景色として陸から眺めているのが一番で、乗ってしまうと特にどうということもなく、なんだかなぁという感じなのはよくあることざます。



おまけにこういう観光ボートでは、かならず土産物の売り込みがあるので、ちょっと面倒な感じも。まぁ、しょうがないのだけどね。
このボートでは船頭さんの女性が、切り紙細工のグリーティングカードを並べてワタシたちに見せ、なんとか売ろうとしているので、試しに1ついくらか聞いてみると日本円にして400円ぐらいな強気な値段設定でした。なんでも安いベトナムで切り紙細工のグリーティングカード1つが400円もするというのは、かなりべらぼうな値段だと思われました。もっと安ければ1つ2つ買ってあげないでもないのにね、とみんなで首を振った次第。あまり欲をかくと商売は失敗するぞよ。
なんとか船頭女史の粘りを振り切って、目的地の天母寺に着いた時にはちょっとほっとしたりして。


ちょっと面白いカードではあるのだが、強気の価格設定が仇に…

で、この天母寺、すごく良かったです。天気がいいせいもあったけれども、とても気持ちのいいお寺でした。このあとフエの王宮も見学するのだけど、ワタシ的には、フエ観光で最も良かったのは、この天母寺でした。船着場から階段を上がるとお寺の門があり、中国的な塔が建っております。高台の開けた敷地に非常に気持ちよく作られたお寺で、ここに来るだけで気分がよくなるという風情が漂ってました。目の下に川が流れているということもあるのだけど、なにがどうと上手く説明できないながら、とても雰囲気のいい、素敵なところでした。ワタシは密かに「天空の寺」と名付けました。




川のほとりの小高い丘に建つ天母寺

そこにいるだけで気分が晴れ晴れとするようなお寺だった


天母寺の見学が終わると、世界遺産のグエン朝の王宮を見学しました。皇帝が政務を執った太和殿は、ほぼ建てられた時の姿で残っているものの、太和殿の背後にある建物は幾多の戦禍で破壊されたりして、裏側はほぼ空き地のようになってましたが、修復工事が進められているとかで、そのうち全て復元されるのだろうと思います。建物としては紫禁城のスケールをかなり縮小した感じの、ミニチュア紫禁城という佇まいでした。皇帝の玉座なども、先に行ったカイディン帝廟の廟内の金の玉座の方が見事だな、という印象でした。







その後はグエン朝の宮廷料理を楽しめるというレストランでランチをしたためたんざますが、この宮廷料理はイマイチだったかな(笑)
蒸し海老とか、春巻きとか、こぶりの鉢に入ったフォーとか、あまり新鮮味のないものが出てきました。味的にも淡白で、まぁ、グエン朝の宮廷料理というのがそういうものだったのだろうけど、フエの宮廷料理にはあまり期待しない方がよきかも、という印象でした。



というわけで、ランチの宮廷料理はイマイチだったものの、日本語でガイドしてくれたベトナム人の若いツアーガイドの女子も可愛かったし、カイディン帝廟や天母寺はとても印象的で良かったので、正解のツアーだったざます。
しかし、ワタシが最もこのツアーをチョイスして良かったと思ったのは、フエからダナンに戻ってきた際、是非とも行こうと思っていたベトナム雑貨のお店が偶然コースに入っていて、そこに寄ってくれた時でした。ショップに立ち寄るとは書いてあったのだけど店の名前を書いていなかったので、そこだとは思わなかったんですね。
これはラッキーざました。ワタシが泊まっているホイアンからダナンまでは前回も書いた通り、車で40分の距離なので、行きも帰りもタクシーを使って買い物に来る予定だったのだけど、フエ観光のついでに、行こうと思っていたダナンのショップで買い物も済ませてしまえたというのは、ツイてましたわ。


ワタシが事前に調べて行こうと思っていたこのお店は「Hoa ly」といい、オーナー夫妻は、旦那さんがベトナム人、奥さんが日本人ということで、この奥さんの目利きで衣類や食材、お茶、コーヒー、陶器、雑貨小物が仕入れられ、リーズナブルな価格で売られているので、非常に人気のお店だとのこと。行ってみると、確かに品揃えの質とセンスが素晴らしかったざます。ワタシのベトナム旅行の目的の1つに、素敵な雑貨を買ってくる、ということがあるんですが、3年半前にハノイに行った時には、あまり食指の動くものをみつけられませんでした(8年前に買ったものとあまり変わらないものしかなかったので)。でも、今回はダナンの「Hoa ly」で欲しいと思っていたものをゲットすることができました。
(ショップ情報)

特に嬉しかったのは、木製のサンダル。室内履きとして買いました。この先蒸し暑くなる季節には足の裏がひんやりして履き心地がいいんざますわね。サンダルは8年前に最初にハノイに行った時にも買ったんざます。漆塗りの螺鈿細工のサンダルで、これは木肌そのままよりも、もっとひんやりして素足にすごく気持ちのいいサンダルだったので室内履きに愛用していたのだけど、甲にかかるバンド(というんですかね。部位の名前がよく分からない)の材質が弱く、数年するうちに本体に留めている鋲の部分からバンドが裂けてきて、履けなくなってしまいました。で、次回ベトナムに行ったら室内履き用のいい感じのサンダルを買ってこなくては、と思っていて、3年半前に二度目にハノイに行った時にも探したのだけど、あまり気にいるものがなく、今回ついに「Hoa ly」でこれだ!というサンダルをゲットした次第。足の裏のカーブにぴったりと添う気持ちのいいカーブが実に履き心地のいいこのサンダル。いやもう、大正解でしたわ。このサンダルをゲットしただけでも「Hoa ly」に行った甲斐があるというものでざました。


現在、愛用中

他にもあれこれといい買い物ができたと思います。サンダル以外では、布製のバッグ類で気にいった物がありました。それと陶器。ダナンではバッチャン焼きは殆ど売っていないそうだけど、オーナーがバッチャン村で直接仕入れてくるというバッチャン焼きも素敵なものがたくさんありました。マグカップなどはいくつあっても欲しくなってしまうものばかりだったけれども、帰りの手荷物が大変なので購買衝動をどうにか最小限に抑えました。


バッグに蓮茶、コーヒーに石鹸、レモングラスの練り香、陶器と気に入ったものを次々に購入

ご飯は美味しいけれども、お菓子類にあまり美味しいものがない、という感じのベトナムですが、それでもオーナーの目利きにより、「Hoa ly」にはこれならOKというお味のチョコレートやクッキーなどが置いてありました。ワタシは甘党じゃないのでお菓子は別に要らないな、という気分だったのだけど、試食してみて美味しかったので、ココナッツ味のサブレを買いました。ココナッツついでにココナッツチップスというのがあったので、それもゲット。これも美味でした。



ここで家族や友人たちへのお土産なども買って、実にもう、大満足のショッピングとなりました。ダナンには、ハノイやホーチミンに比べて、これという雑貨屋がないというイメージもあったのだけど、他に何もなくても、「Hoa ly」があれば無問題。素敵なお店があって、本当に良かった。しかもこのお店は各種のカードが使用可で、現金はベトナムドン以外に円や米ドルでもOKということで、ワタシは手持ちのドンとカードで支払いを済ませました。ドンは翌日のために、少し残しておくことにしました。

たんまり買い物をしたあとは、フエ観光のワンボックスカーで宿泊ホテルまで送ってもらいました。ほんとに素晴らしかったざます。はい。フエ観光の最後に思いがけず「Hoa ly」に寄れなければ、ワタシはその翌日の午前中にタクシーで行くことにしていたわけなので、往復のタクシー代も浮いちゃったなり。実にラッキーざました。

ホテルに戻ると、バスタブにたっぷりとお湯を入れてゆっくりとお風呂に浸かりました。
3泊するとディナーとSPAが一度ずつ無料になるというサービスがあり、その夜はホテルのレストランで夕食をしたためました。
定番の生春巻きに揚げたワンタンや、ソテーした海老やチキンにチリとレモングラスが添えられたものなど、いかにもなベトナム料理でしたが、白ワインや地ビールによく合い、まずまずでした。一番美味しかったのは空芯菜のニンニク炒め。白いご飯にもよく合う味でした。



空芯菜はヒルガオ科の植物なんだそうですが、英語ではMorning Gloryというらしいです。メニューに”Morning Glory with Garlic”と書いてあったので、え、朝顔を食べるんざますの?と思ったのだけど、出てきたものを見れば空芯菜でした。朝顔も昼顔も空芯菜も英語ではMorning Gloryで一括りって感じなんですわね(笑)ひとつ勉強になりましたですわ。

翌日は、今日ほど早起きする必要はないけれども、ある程度早めに起きて、朝食前に誰もいないプールで泳ごう、と目論んだワタクシ。
夕食を終えて部屋に戻り、ざっくりと買ってきたものを整理してスーツケースに入れたあとは、程よい疲れで、いつとしもなく眠りにおちておりました。

というわけで、続きは次回。

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