ランタンの灯り…今宵逢う人みなうつくしき

−三度目のベトナム その3−



さて。ホイアン旅行記も今回が最終回ざます。
滞在三日目は少しだけ早めに起きて、朝食前に誰にも荒らされていないプールで小一時間、泳ぎました。
早朝というのは、ホテルのプールが一番空いている時間帯。プールの中央あたりで仰向けに浮かんで、空をゆったりと流れていく雲を眺めるのは至福のひととき。朝食前にわずかばかりでも運動すれば、食事もより美味しいしね。




ホテルのレストランはプールのほとりにある

でもまぁ、今回のホテルの朝食は、シェムリアップの「ラッフルズ・グランドホテル・ダンコール」のそれと比べると、ごく平均的な南アジアのリゾートホテルの朝食という感じでした。でもまぁ、なかなか、あそこまで感動的に美味しい朝食(とにもかくにもスープ麺が美味しかった)を味わえるというほうが珍しいので(朝からシャンパン飲み放題とか)、比べてもしょうがないかもしれませぬね。一応、このホテルでも朝食にフォーのコーナーがあって、作りたてを食べることはできるのだけど、味は平均的。ひとまずフォーが食べられるという程度でざました。


とにかくフォー いつでもフォー

その日は夕方近くに、そろそろランタンが灯り始める時間になってから世界遺産のホイアン旧市街を散策に行く予定なので、それまではホテルでのんびり過ごすことに。短い滞在期間の間に、ホテルステイの楽しみも味わわないとね。
3泊すると1時間無料サービスで受けられるスパのオイルマッサージの予約も入れてあったので、それまでは気持ちのいいテラスでのんびり過ごそう、と思って部屋に戻ると、ドアの下に何やら紙片が挟まれております。
なんだろうと見てみると、ホテルのスパからのマッサージの割引価格のバウチャーでした。もう無料サービス分を予約してあるので、プラス有料で1時間分は要らないかな、と思ったのだけど、価格をみると60分のマッサージを邦貨にして1250円程度でやってくれるということなので、この際だからタダの1時間にプラスして割引価格でもう1時間やってもらおうかしらん、と思い直しました。連続して2時間はできない(というか、体の負荷が大きいからオススメしない)とのことだったので、日中に1時間、夜に1時間、間をあけてマッサージしてもらうことに。


スパはこんな感じ(ホテルの公式サイトより)

で、このホテルは、名称にSPAと入っているだけあって、売りの1つでもあるだけあって、肩甲骨の周辺や腰周り、肩首など、凝っている部分をよくほぐしてくれて、よいスパでした。けっこう強いマッサージだったのでふくらはぎなどもみ返しが来るかと思ったけれども、そんな事もありませんでした。担当してくれたエステティシャンの女性は、実質1時間を20分ほどオーバーして一生懸命やってくれて、そういうひたむきさがベトナムの人の良さだよね、と改めて感じた次第。この女性が夜の予約の1時間分も再び担当してくれました。指力が強いので、二度目の時には「今回はできるだけソフトタッチにしてください」とお願いしたのだけど、次第に強くなってきちゃったりして。仕事熱心なのだね(笑)

この昼と夜の2回にわたるマッサージの合間にホイアン旧市街に散策に行った、という感じになるんざますが、いや〜、ホイアン旧市街、いい感じでした。世界遺産なので旧市街に入るのは有料なんですわね。5枚綴りの観光チケットを買って入るという感じ。まぁ、12万ドン(邦貨にして約600円)程度ざます。旧市街の中の観光名所に入る時にはチケットが必要になるんですが、ただ散策をするだけならチケットは不要だったりもするようざます。買わずに旧市街を散策するルートもあるらしいけど、ワタシは一応買いました。



ホイアンは国際貿易港として16世紀ぐらいから栄えていたとか。江戸時代には正式に幕府と取引をしていたため、ホイアンには日本人街があったらしいざます。その時代に日本人が有効の証として架けた屋根付きの橋は日本橋(来遠橋)と呼ばれて、ホイアン旧市街の観光名所になってますのね。橋の真ん中あたりに船の安全を祈願する小さな寺があるんですが、橋の意匠に日本的なところはなく、かなり中国テイストな橋だな、という印象ざました。しかしまぁ、日本とベトナムは江戸時代から交流があったわけざますのよね。昨日今日、行き来をするようになったわけじゃないんですわね。


日本橋

橋の屋根の下はこんな感じ 左側に小さなお寺がある

橋の出口 かくて旧市街のさだなかへと入っていく


ベージュが混ざったような独特の黄色い外壁に彩られたコロニアルな建物が続く町並み。建物に絡まる花々と、街や建物の軒先や外壁に下げられたランタンが独特の情緒を醸し出しているホイアン旧市街。ワタシは前日にダナンで買い物を済ませてしまったので、ホイアンでは特に何も買いませんでしたが、この旧市街の中にもショップがあれこれとあり、中でも絹糸による刺繍などの伝統工芸品が売りのようざました。
入り口で買ったチケットを渡して入る、歴史的建造物には特に入らなかったのだけど、街をぶらぶら歩いているだけでも楽しかったし、夕暮れ時の散策をするには、本当にもってこいの素敵な街でしたわ。







この日はホイアン旧市街の中にある、美味しいと評判のレストラン「モーニング・グローリー」で少し早めの夕食をしたためることに。
19時前後あたりからはかなり混雑し、予約しておかないとフリでは入れないこともあるというレストランなので、18時少し前に入りました。時間が早めだったせいもあるけども、全く混んでいなかったのでゆったりと表通りの見える席に座り、とにかく麺を食べたいな、とまずはフォー。


レストラン内から外を眺める

レストランの天井 もちろんランタンが下がっている


そしてフォー、とにかくフォー 美味ざました

貝入りカレー これまたナイスでした

ホイアン名物のホワイト・ローズ(ベトナム風蒸し餃子のようなもの)は食べてみませんでしたが、貝入りカレーを賞味。なかなか美味ざました。地ビールを飲みながら通りを行き交う人を眺めつつ小休止。ダナンとホイアンは近いので、いかにもなビーチリゾートや現代的な雰囲気を求める人はダナンに宿泊した方がいいし、レトロチックなムードが好きな人は断然ホイアンでしょう。ワタシは無論、後者なのでホイアンで大正解でした。ダナンもよいだろうとは思いますが、今回宿泊したホテルを含めたホイアンの雰囲気や、そのホテルから徒歩10分の距離にある旧市街の佇まいも含めて、ホイアン宿泊で本当に大当たりだった、と今更に満足しました。



のんびりと夕食をとっている間に徐々に日が暮れてランタンに灯りがともり始めたので、会計を済ませて外に出ると、面白そうな通りを足に任せてのんびりと歩き、トゥボン川沿いをぶらぶらと散策しました。全くとっぷりと暮れてしまうよりも、夕暮れに差し掛かったあたりの薄暮の時間帯が好きなワタクシ。この薄暮の時間帯にともり始めたランタンの灯りというのもなかなか風情があってグッドざました。


こういう路地を見ると、入っていきたくなっちゃうざますわね

日暮れになると、旧市街には人がもっと増えた感じでいよいよ賑わってきました。この辺に多く観光に来る白人はオージーやニュージーランドの人が多いんじゃなかろうかと推察しますが、無論欧州からも訪れてるんでしょね。みなリラックスしていて楽しそうでした。







何より、夜遅くなっても治安に不安を感じないで過ごせるというのは素晴らしいざます。およそ海外で、日本と同等かそれ以上に安全なところなんてそうそう無いざますわね。ダナン、ホイアンはベトナムでも有数の治安のいいところだそうで、観光に気合を入れているので、そういう治安の良さはこれからも維持されていくのだろうと思われます。



川辺では結婚式をあげたばかりの新婚さんが何組か、船頭さんの漕ぐ小舟でトゥボン川に船出していくのを見ました。お披露目なのか、幸福を祝う習わしなのか、新婚さんは並んで小舟に座って川下りをするみたいざます。ふほほ。嬉し恥ずかしな若夫婦だね。

今は穏やかな川だけど、洪水の時期には川沿いの建物の1階部分は浸水してしまうぐらい水かさが増えるんだとか。しかし、景観を守るためなのだろうけど、特に堤防をこさえたりもせず、洪水のシーズンには1階のものを2階に避難させてやり過ごし、洪水が終わるとまた何事もなかったように日常の暮らしに戻るというホイアン旧市街の人々の暮らし方は、その土地に合っていて、こせこせしてなくていいなぁと思いました。きっと洪水さえも楽しんでやり過ごしてるんでしょね。


日がどんどん暮れていくにつれ、鮮やかなランタンの灯りが旧市街を彩り始め、街路を行き交う人々はみな、幸せそうなのんびりとした笑顔を浮かべて散策したり、写真を撮ったり、カフェやバーで寛いだりしていました。ここに居てしかめっ面になる人は一人もおりますまい。勿論ワタシも幸せ気分でにこにこ丸。





旧市街を歩きながら、ワタシはなぜ、こうもベトナムが好きなのだろう、と改めて考えてみましたが、ただ、好みに合うということしか理由は思いつきませんでした。なぜベトナムのあれこれが趣味に合うのかうまく説明できません。当然ながら、合わない人には全く合わないだろうし、好きじゃない人は全く好きじゃないでしょう。東南アジアだから湿気もあるし、気候が合わないという人もいるでしょう。ワタシだって基本的には高温多湿は苦手ざます。しかし、ベトナムはワタシにとっては理屈抜きにリラックスでき、何を見ても好ましいと思える場所であるのは間違いありません。なぜだろう。不思議です。アジア好きの人々に人気のタイや台湾、マレーシアなども行きましたが、まぁ、悪くはなかったけれども、また何度も行きたいかというとそうでもない、という感じ。インドネシア(バリ島)はエキゾティックで面白かったけれども、しつこい物売りとかがマイナス点でした。
ベトナムと同じく快い何かを感じ、好ましく思ったのはカンボジアです。シェムリアップにしか行ったことはないのだけど、雑貨はベトナム以上にセンスのいいものがあったし、人の気風も好きでした。カンボジアにも、また訪れてみたいと思っています。


***
かくしてホイアンでの3日間はあっという間に過ぎていき、帰りは行きよりも1時間早く4時間半で成田に帰ってきたワタクシ。帰りは偏西風に乗るから早いんですのよね。ベトナムには毎年行ってもいいかもしれないなぁ、などと思ったりしています。二ァチャンやダラットなど、まだ行っていないところもあるし、何年かしてホイアンを再訪するというのもいいかもしれません。とりあえず次の旅はベトナムではない予定ですが(笑)




当初はオランダに行こうと思っていながら、急遽変更して行ったベトナム、ホイアンですが、予想していた以上に心地よく癒された旅でした。ヨーロッパも嫌いじゃないはずなのだけど、ここ数年は、どうしてもヨーロッパに行きたい!ヨーロッパでこれを味わいたい!という何かがワタシの中に無いのかもしれません。いずれまた、ヨーロッパ熱が戻ってきたら、あちこち行ってみようかしらん。

ホイアンは旧市街に情緒があり、ビーチもありで、一粒で二度美味しいという感じ。ビーチはともかく、風情のある建物が多く、レトロムードが好きで建築好きのワタシの好みにぴったりとフィットした場所でした。
ダナン、ホイアン周辺には五行山とかミーソン遺跡とかの観光名所もあるのだけど、さっぱり惹きつけられなかったので行きませんでした(オプション観光はフエだけで沢山かなと)。行った人の話によると、特にどうということもなかったので行かなくて正解です、自分たちも別に行かなくてもよかったなぁ、とのこと。遺跡は大したことないし、帰りに石細工の工芸品などの土産物屋に寄られて欲しくもないものを見なくてはならないので、ちょっとね…と苦笑いしてました。まぁ、オプションツアーは土産物屋と提携してるので、ある程度はしょうがないんですけどね。遺跡自体もどんな雰囲気かは、なんとなく予想されたので、勘に従って正解だったということかしらん。ふほほ。



というわけで、改めて自分のうちなる南アジア好きを強く認識した、ベトナムはホイアンの旅でした。
旅は自分を再発見する機会でもありますわね。
さぁてさて、次はいずこへ行こうかしらん。ふほほほ。

コメント

  • 2017/06/14 (Wed) 10:23
    スパ、スパ、スパ

    kiki さんこんにちは、楽しく拝見させていただきました。

    写真がステキですね、飛行機嫌いのボクですが行ってみたくなりました。
    それとやっぱりスパ。
    最近特に背中がガチガチになっているボクには、とても羨ましい。
    マッサージ中にだんだん力が強くなってくるというのは、よくわかります。

    • la_belle_epoque #aAIKTiXc
    • URL
    • 編集
  • 2017/06/15 (Thu) 22:11
    Re: スパ、スパ、スパ

    la_belle_epoqueさん こんばんは。
    飛行機お嫌いなんですね。 じゃ、あまり海外には旅行されないんでしょうかしら。でもホイアンオススメですよん。

    体ガチガチになりますよねー。オフィスワーカーはみな長時間同じ姿勢で仕事をすることが多いから、どうしてもガチガチになっちゃいますわね。で、結局、旅先でほぐしてもらっても、せいぜいで2日ぐらいしかほぐれた感は続かないんですが、旅に出ると、どうしてもスパでマッサージを受けてきてしまいますわ。それも楽しみの1つですゆえ。ふほほ。

  • 2017/06/30 (Fri) 16:16
    No title

    はいはい、こちらにもお邪魔します。

    ベトナム紀行堪能させて頂きました。kikiさんは本当にベトナムがお好きなんですね。私はアジア的喧噪(特に東南アジアや南アジア)が苦手でそちら方面にはあまり関心無かったのですがベトナムだけはちょいと違うなと思っていて興味ありました。何と言ってもフランス、アメリカ、中国を追い出した人々ですものね。でも人柄が良さそうで。

    kikiさんも書いてらっしゃるように昔から日本との縁も結構あり(阿倍仲麻呂はベトナム(安南)の総督や節度使になってるし)面白い歴史も。今なお語り継がれている1288年の白藤江の戦い(バクダンの戦い)。ベトナムにはよくバクダン通りとかバクダンアイスクリームってあるでしょ。それがバクダン=白藤です。あの時あの元軍をボコボコにして追い払ってくれたおかげで日本への第3次元寇がなくなったので日本は助かりました!場所は現在のクアンイェンって所らしく、ハロン湾に出る河口デルタ地帯。もしかしたkikiさん通られたかも!?ゲリラ戦や焦土作戦に、最後は潮の満ち引きを利用した頭脳戦での作戦勝ち。ベトナム戦争の時と同じ。やっぱり民族の特徴って時を経ても変わらないんですね。

    知人友人、結構ベトナムや東南アジアに行く人多くて例の切り絵のカードお土産にたくさん貰ったけどそんなに高いんだ?!知らなかった。

    そういえば、以前kikiさんがシェムリアップに行ってらした頃、ちょうど知人が近くのトンレサップ湖で学術調査の仕事をしていたの。彼曰く、ベトナムの空芯菜は農薬汚染がひどくて食べられない、と言っていたのを思い出しました。真偽の程は不明ですが農林関係者だから全くの見当違いとも思えないけど。でも、その彼カンボジアのは大丈夫だそうでこれ(空芯菜)無しには生きていけないと毎日食していたそう(笑)

    来日ベトナム人も増えてきましたね。近所にも知り合いがいます。でもその方チャイナ系ベトナム人でアメリカ国籍です。その前はイスラエル国籍でした。日本では考えられない(今のところ)複雑さですね。

    • ジェーン #io8unDfk
    • URL
    • 編集
  • 2017/07/03 (Mon) 21:24
    Re: No title

    ジェーンさん こちらにも、どうもどうも。

    「アジア的喧騒」はワタシも苦手なんですが、だから香港もタイもさほど好きじゃないんですけどね。ベトナムはむしろ、そういうものを感じないので好きだというのがあるのかもしれませんのよ。粘り強くて、いざとなると凄いんだけど、普段は控えめで日本人と近いものがあると思うんですわ。ベトナム人て。

    民族的に相性がいいのか、お互いに嫌いじゃないというのがあるので、日本とベトナムは関係性がいいのだろうけど、昔から浅からぬ縁があるんですよね。今回、ちょっと驚きましたよ。そんなに昔から付き合いがあったなんてね。でも、江戸時代どころじゃなく、阿倍仲麻呂の頃から付き合いがあったざますか。本当に古い付き合いなんですねぇ。

    切り絵のカード、日本円にしたら400円程度なので日本の物価感覚でみれば高いわけではないですが、あちらの物価からすると、ちおっとふっかけすぎじゃない?というプライスではあるざますわ。ワタシらは見事に誰も買わなかったざます(笑)

    ベトナムの空芯菜は農薬汚染が凄いんですか?
    今頃聞かされても、もう食べてきちゃったしなぁ(笑)
    でもまぁ、農薬云々はともかく、味は美味しかったですことよん。ふほほ。

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